TSUKUCOMM-29
22/36

に乗りますが、5月から6月にかけては、アイスを食べながら、宮殿広場を通って歩いて帰っていました。あの何とも言えない解放感!エルミタージュ美術館など、帝政ロシア時代の豪華な建物に囲まれている宮殿広場は、何度行っても、心を奪われる美しさです。 6月に行われる「赤い帆」という祭りでは、ここに赤い帆をイメージしたステージが設置され、コンサートが開かれます。この祭りは、高校の卒業を祝う祭りで、ロシアの童話作家、アレクサンドル・グリーンの「赤い帆」にちなんだもの。高校卒業生は、コンサートに無料招待されます。祭りのクライマックスは、盛大な打ち上げ花火の中、ネヴァ川の上流から、幸せを運んでくると信じられている赤い帆の船が下ってくるシーンです。本来、祭りの主役は高校卒業生ですが、とても幻想的できれいな祭りなので、近年では100万人もの観光客が集まります。 宮殿広場以外にも、サンクトペテルブルク周辺には、豪華な宮殿や美しい公園がたくさんあります。その1つがペテルゴフ。サンクトペテルブルクから西に約30km離れた宮殿と庭園です。庭園内には、150以上の噴水があって、水の流れにとても癒されます。 南に24㎞ほどのところにあるプーシキンもいいところです。エカテリーナ宮殿や美しい池があります。ライバル都市・モスクワ ロシアはとても広く、日本の45倍の面積があります。でも私は、サンクトペテルプルク市以外はモスクワくらいしかよく知りません。モスクワまでは700㎞くらい。特急電車や車で何度が行きました。 この2つの都市の人々は、互いにライバル意識を持っているんですよ。東京と大阪によく似た関係だと思います。 一般的に、サンクトペテルブルクの人は「文学が好きで消極的。思慮深く、人生のことをいつも考えている」というイメージで、モスクワの人には「積極的で、ビジネスを成功させるために一生懸命」というイメージがあります。ボルシチとピロシキ 日本にいて、一番懐かしく思う料理は母の作るボルシチ。ボルシチの特徴は、スビョークラ(テーブルビート)の赤と紫の間のような色です。具だくさんスープで、スビョークラ以外の材料は各家庭でさまざま。私の家では、牛肉、ジャガイモ、キャベツなどを入れ、スメタナ(ロシア風サワークリーム)とネギをトッピングします。夏には、冷蔵庫で冷やして食べるんですよ。 母の作るピロシキも最高です。日本のピロシキは、揚げたものが多いそうですが、ロシアではオーブンで焼くのが一般的。米と玉子の入ったピロシキや、りんごの入った甘いピロシキが大好物です。 食べ物といえば、サンクトペテルブルクに行ったら、ネフスキー通りにある老舗、エリセーエフスキー食料品店に行ってみてください。歴史ある豪華な建物の中に、ちょっと高いけれど、とてもきれいで美味しいお菓子が並んでいます。エリセーエフスキー食料品店のケーキボルシチエカテリーナ官殿の池ペテルゴフの噴水エカテリーナ宮殿ピロシキ22

元のページ  ../index.html#22

このブックを見る