TSUKUCOMM-29
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小中学校の夏休み開始間もない7月26日、筑波大学東京キャンパス文京校舎にて、小中学生向けの科学イベントを開催しました。名づけて「夏休み ちょこっと理科クラブ」。本学では毎年4月の科学技術週間に、科学の面白さと大学の魅力を体感できる小中学生向けイベント「キッズ・ユニバーシティ」を筑波キャンパスで開催しています。今回の催しは、東京キャンパスでの初の科学イベントとなりました。当日は、筑波大学の教員による、植物の果実の実り方と波の伝わり方に関する実験や観察、隣接する教育の森での昆虫観察会、理科教育専攻の学生の指導による工作教室の他、夏休み自由研究の相談会を実施しました。猛暑にもかかわらず、100枚用意した「学生証」(有効期限は筑波大学に入学するまで)が午前中でほぼなくなるほど盛況で、いつもは社会人学生が憩うロビーが、その日だけは小学生の理科教室のようににぎわいました。大学院共通科目の中に、JAPIC(日本プロジェクト産業協議会)の協力により実施する科目群があります。これらは、企業のトップとのディスカッションを通じて、グローバル時代の産業界で求められる人材や、企業経営について深く考察するものです。その中のひとつ、大学院アドバンスト・ディスカッションコース「グローバル時代の企業経営について」では、全学から15名ほどが履修し、日鉄住金鋼板株式会社(NISC)の武田厚取締役相談役らの講義および工場見学により、事業構造改革の変遷やブランド構築のケーススタディを学び、さらに経営陣とともに、現実に直面している経営課題に対する解決策について討論・発表しました。NISCは屋根や壁などに用いるメッキ鋼板を中心とする建材の製造・加工を行う企業で、さまざまな事業の統廃合を経て、業界の中核を成すに至っています。授業はまず、企業の沿革を伺い、主力製品を生み出す工場の見学から始まりました。企業の生々しい現実や困難に対処する経営判断、ダイナミックな製造現場を目の当たりにし、学生たちのテンションも一気に上がります。その後の講義で、企業の再編や事業展開の具体的事例について学び、最終回の授業では、2グループに分かれて、海外進出の戦略や、事業の拡大についてディスカッションが行われました。経営者の立場で考えたときの最適解は何か、企業幹部も加わって徹底的に議論します。導かれた結論には稚拙な部分もありますが、学生ならではの新しい視点もあり、ともに議論した経営陣にとっても発見の多い提案が発表されました。最後に、武田取締役相談役から講評と全体の総括、そして未来の経営者へのエールをいただき、全4回の集中講義は終了しました。目指す業種は違っても、企業経営の醍醐味と厳しさを実感する貴重な体験となりました。本物の経営者とともに企業経営を疑似体験「夏休み ちょこっと理科クラブ」開催▲昆虫観察の様子。20種類以上の虫を確認し ました▲「果物はどうやってできる?」では輪切りにして観察したトマトやリンゴをおいしく食べました▲広いロビーが特別理科教室にTSUKUBA COMMUNICATIONS26

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