TSUKUCOMM-29
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の意識を変えていかないといけません。永田:島を作って「オリジナリティ」と言って、それから「みんなと同じようなもの」と言いたいんでしょうか。小林:IOT※1だ、ビッグデータだ、ロボティクスだ、という時代が来て、アメリカは「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム」※2、ドイツは「インダストリー4.0」※3という国家的プロジェクトを結成し、国を挙げて産業革新が進んでいます。そんな中で、日本はかなり出遅れてしまいました。早く追いつかないと、21世紀半ばから後半以降には、もう先進国ではいられないかもしれません。永田:日本は本当に遅れています。分かりやすい例で言うと、「もしサイバーテロがあったら日本は勝てない」ということ。今のままだと日本は敗戦国になってしまう。10年以上前に、アメリカでは、政府に入るハッカーのコンペがありました。日本はといえば、そのコンペの良し悪しを議論しているだけ。こんな調子だから、クトを一緒にやるとなっても、ビッグボスを決め、その下にそれぞれの組織の中にチームを作って満足してしまう。なぜ、「本当に共に働く」という協働ができないのでしょう。これを乗り越えないと、人も育たないし、今言われたような、ロマンを持ってチャレンジするようなものも解決できません。小林:アメリカやドイツの産業界は、かなり選択と集中が進んできています。一つの産業にはプレイヤーが数社しかありません。永田:そうですね。小林:ところが、日本は小さい会社が林立していて、欧米に比べて資本効率がすごく悪い。集約すればもっと効率良くやれるのになかなか一緒になれない。農耕民族的に「俺の田んぼはちょっと狭いけれど、うまい米を作っているぜ」という意識が強いのでしょう。小さい田んぼを大切にしすぎて、トラクター農業を大規模にやるとか、大きな目的に向かって皆の力を集約するということができない。こ真の産学官協働とICT教育永田:若い人たちが、地球的課題に危機感を持って取り組むことはとても重要なことです。同時に、そのような大きな問題には、国も企業も資金を出して、産学官から知恵を集めて取り組むべきですね。小林:僕らの時代は、大学では学生が自治を声高に主張していました。だから、例えば警官がキャンパスに立ち入ることにものすごくヒステリックに反応することもあった。永田:東大紛争ですね。小林:僕自身は関わりませんでしたが、「学問は社会から独立しているべきだ」という風潮が強かった。しかし、今や時代は変わりました。大学は社会や企業にオープンでなければいけないと思います。大学の自治だけでなく産学官の協働も重視し、「社会とコラボレーションすることが大学の存在意義」というように、がらりと変わりました。永田:ただ、どうも日本人は、プロジェTSUKUBA COMMUNICATIONS04

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