TSUKUCOMM-30
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142mの孤山に209の窟が掘られています。膝を突いてようやく一人が入れるぐらいのものから、50人ほど入れるものまで、窟の大きさはさまざまです。それぞれに、数体の仏像がまつられており、壁画が描かれているものもあります。全体では7000体以上の仏像があると言われ、雲岡、龍門、敦煌と並んで中国四大石窟群の一つに数えられています。石窟間をつなぐ細い廊下や急な階段は、山肌に沿って斜面からせり出して設置されているので、崖の上を歩いているように感じられます。これらの窟は、420年代ごろから600年代初めの200年間ほどをかけて、継続的に作られました。仏像はいずれも石を彫ったものではなく、粘土でできた塑像です。それらが現在まで残っているというのはとても貴重なことです。 2014年、中国とヨーロッパを結ぶ交易路として形成されたシルクロードのうち、中国・カザフスタン・キルギスの3カ国に及ぶ約8700kmが世界遺産に登録されました。その33の構成資産の一つが、中国甘粛省にある麦積山石窟群です。仏教僧の修行のために作られたもので、切り立った山に209もの窟が掘られ、仏像や壁画が納められています。筑波大学世界遺産専攻では、八木春生教授(芸術系)を中心に、中国の麦積山石窟芸術研究所と共同で、これら石窟群の保護と考古学・美術的研究を実施しています。7000体もの仏像をまつる一大石窟群 西安から西へ270kmほどに位置する麦積山石窟群。高さと筑波大学世界遺産特集|シリーズ世界の文化遺産を守るための研究対象として、筑波大学は多くの世界遺産とのつながりがあります。文化財の価値や保存活動の一端を、現地でのフィールドワークの様子なども交えて紹介していきます。File#6麦積山石窟群(シルクロード:長安―天山回廊の交易路網)▲世界遺産専攻麦積山石窟研究展八木 春生 教授TSUKUBA COMMUNICATIONS08

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