TSUKUCOMM-32
22/28

戦後台湾における日本語教育の源流は筑波大にあり 台湾では現在、最もポピュラーな第二外国語として多くの人が日本語を学んでいます。その背景には、日清戦争以降の統治の波に翻弄された、国語教育の歴史があります。特に日本語に関しては、わずか100年ほどの間に、国語として教育された時代と、その使用を禁じられた時代とがありました。 蔡茂豊先生は、この両時代の影響下で日本語を学び、戦後、台湾の国語が北京語になった後、外国語としての日本語教育の礎を築いてきました。本学とのつながりは、日本政府の国費留学生として東京教育大学にやってきた1962年にさかのぼります。国語学と国文学を研究して台湾に戻り、以来、東呉大学の日本語学科で日本語教育に携わってきました。当初は、日本語教育の方法論は確立されていませんでした。そこで、共通の言語を使うグループごとに、その言語で日本語を教える「語族別日本語教育」を自ら考案し、実践しました。1980年に、筑波大学で学位を取得されましたが、これは、台湾初の日本語教育分野での博士号です。 蔡先生のもとで日本語教育を学び、本学へ留学した人もたくさんおり、彼らが、台湾におけるその後の日本語教育を担っています。学生を自分のきょうだいや子どものように思い、学問だけにとどまらず、親身に、そして情熱を持って接する――蔡先生の教育者としての姿勢も、日本語教育とともに広まっています。海外オフィスから 本年4月に本学と全学協定を締結した東呉大学は、日本語教育に定評のある台湾の私立大学です。その日本語学科を設立時から支えたのは、筑波大学の前身である東京教育大学で学んだ蔡茂豊(さい もほう)名誉教授でした。※協定締結にあたり、本学永田学長と蔡先生との対談が実現しました。その詳細は、筑波大学台湾オフィスWebサイト(http://www.kokuren.tsukuba.ac.jp/overseas_o ces/taiwan/)に掲載しています。1933年台湾屏東生まれ。1962年日本政府の国費留学生として東京教育大学文学研究科国語国文学科へ留学(1965年修士)。1973年東呉大学(台湾)日本語学科主任。1980年筑波大学博士。2005年台湾における日本語教育普及に対する貢献により旭日中綬章受章(1972年日台断交後初の台湾人の褒章)。現在、台湾全国に40以上ある日本語教育関連学科の主任の約半数を教え子が占める。台湾の様々な文化を楽しむ5日間期間:2016年9月16日(金)~20日(火)会場:筑波大学サテライトオフィス   (TXつくば駅前 BiViつくば2階)【蔡茂豊 東呉大学名誉教授 略歴】【台湾文化ウィーク 開催! 】TSUKUBACOMMUNICATIONS22

元のページ  ../index.html#22

このブックを見る