TSUKUCOMM-32
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遣うことが重要なのです。その意味を込めて、「災害精神支援学」から「災害・地域精神医学」へと講座の名称も変更されました。■ 平時は災害のために、  災害は平時のために 精神科医を目指したのは、様々な決断を下して行動し、人生を切り拓いていく、という人の脳の働きに興味があったからです。その仕組みが知りたいと、神経内科や脳外科など脳を扱う医療の中から精神科を選びました。普段は精神科医として、日常診察や認知症の診断・治療を専門に診療にあたっています。 「人生は小さな災害の連続」とも言えます。私たちはそんな小さな災害を乗り越えて毎日を生きていく力を持っていますが、時には負けてしまうこともあります。ですから、平時の医療をしっかり行うことが、災害への備えになるのです。また、災害時の経験は平時の医療にも還元されます。平時と災害時を連続的に理解すれば、医療全体のレベルアップが図られるはずです。日本人は、長い歴史の中で多くの災害を克服してきました。そう考えると、災害医学は古くて新しい分野。ただ、地道で根気のいる精神医療には、まだまだ知見も人材も必要です。 地震、竜巻、水害と、災害に関連の深い土地柄の茨城県で暮らしていると、災害精神医学の重要性が実感されます。DPAT活動を通して、全国の医療機関とネットワークを構築し、精神医療の支援体制を強化すること、そして来たるべき災害に向き合っていけるよう、この分野の先鞭をつけていくことが目標です。聴▲熊本震災に早期に派遣された茨城県DPATチームメンバーとともに▲DPATは日の丸を背負って活動する(ウェア提供:DPAT事務局)TSUKUBACOMMUNICATIONS07

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