TSUKUCOMM-33
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を打破してくれそうな考え方が「革新」と受け取られます。人々のイデオロギーが変わるように、保守と革新の基準も時代とともに変化するのかもしれません。民党、革新と言えばかつての社会党や共産党でした。ところが、若い世代の眼には、主張を変えない共産党が保守、新たに勢力を伸ばしてきた日本維新の会などが革新、と映っています。イデオロギーではなく、現状維持か変革かで評価しているわけです。 確かに、学校教育の中で各政党の信条や保守・革新といった概念を学ぶことはほとんどなく、政党や政策の対立をイデオロギーで判断していた時代を知る世代とそうでない世代との間に認識のギャップが生じるのは当然でしょう。しかしそれを間違った知識と断じてしまうのは性急です。若い世代の方が、政治に対する閉塞感をより切実に感じています。だからこそ、現状1報の論文は、10年かかって1冊の書籍になりました。その3年ほど前に55年体制が崩壊し、研究は次のフェーズに入りました。その集大成が、2012年に出版した「イデオロギー」という書籍です。日本人はイデオロギーを持たなくなったように見えますが、昨今は、政権の右傾化や、ヘイトスピーチなど排外主義の顕在化も指摘されています。書籍の刊行と前後して、政党と有権者の関係や政策の対立をイデオロギーから論じる研究が増えつつあります。■ 変わる「保守」と「革新」 近年の分析によると、有権者の考え方に興味深い変化が起こっています。特に30代以下の若い層で、「保守」と「革新」の概念が逆転しているのです。 これまで社会や政治を支えてきた50代以上の人々にとって、保守と言えば自TSUKUBA COMMUNICATIONS06

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