TSUKUCOMM-34
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とに、学びの段階に応じて、教材も発展させていきます。 日常的に情報過多な環境で生活している子どもたちに対して、集中できる適当な教材を見つけることはなかなか大変です。教材を考えることは、理科教育の大きな魅力のひとつです。しかし、教師が考え抜いて用意した教材が、必ずしも意図した通りの効果を発揮しないこともあります。授業を客観的に観察していると、子どもたちが実際にどんなふうに教材を使っているか、どんなところでつまずいてしまうのかが明らかになり、教材のデザインや使い方についても、改めて見直すことができます。■教育的タクト そのようにして授業を観察した結果は、教師にフィードバックし、その後の授業に生かされます。けれども、クラスごとの性格も異なりますし、教チェックすると、授業の本当の効果が見えてきます。■理科教育の魅力 授業の資料や教材が詰まったカートを引いて通勤するのが日課です。特に使う予定がなくても、いつも手元に置いておきたいと、毎日自宅へ持ち帰ります。それほど思い入れがあるのが教材。特に理科は、実験や観察などの活動が重要な位置を占める教科です。効果的な学習には、教材の工夫が欠かせません。だからといって、導入からいきなり理科室にあるような完成された実験器具に触れさせるのではなく、まず、理科の世界に入っていくための扉を開かせるものが必要です。それには、身近にある材料や道具を活用したり、遊びの要素も取り入れた様々なツールを提示し、その中から子どもたちの興味や好奇心を引き出すものを探ります。それをもな位置付けにあるのか、本来の学習の全体像を見失ってしまいがちです。研究者として、教師が与える課題や教材に対して生徒はどのように反応し、変化するか、それを見極めようとしています。 こういった研究には、エスノメソドロジー的な手法(集団内の秩序が生成していくプロセスを分析する)を用います。教育は人間を対象にしますから、いわゆる「実験」をすることはできません。教育現場で行われる事例を積み重ね、その中から何らかの傾向を見出し、最善の方法を探ります。授業を実施している教師自身が、同時に個々の生徒を観察することは困難なので、第三者である研究者が教室全体をメタ認知的に捉える役割を担います。あたかも透明人間のように授業環境の中に身を置き、授業の様子を客観的に観察し、分析します。生徒同士のコミュニケーションなど、授業者の目の届きにくい教室内の動きも細かくTSUKUCOMM Vol.3406

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