TSUKUCOMM-35
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受け入れる体制をつくって支援しなければ伸びないと思います。プロとアマ、教育政策や若者の育成なども含めて、一つの方針に向かって、みんなでスクラムを組んでいくということが一番大事だと思います。永田●多くの台湾出身選手が日本で活躍し、日本の選手もメジャーリーグでプレーしています。メジャーには、いろいろな国から選手が来ています。世界的に、国境にとらわれず、レベルの高い野球を目指すようになってきたと思います。国際的な開かれ方という点で、日本や台湾の野球界はどのような状況なのでしょうか。王●日本のプロ野球界もかつては、選手をアメリカに行かせませんでした。いい選手が流出してしまうことを恐れたんです。でも、野茂(英雄)という投手が見事に道を切り拓いてくれました。当時は国賊扱いされましたが、彼のおかげで、いまや、松井(秀喜)やイチローや黒田(博樹)など、数は少ないが堂々とメジャーで活躍しています。こういうふうに、いったん壁が崩れた後は、日本の野球も格段にレベルが上がりました。不可能に見えることでも、それを突破するための努力をする人たちがいるべきだと思います。林●台湾では野球産業のスケールが小さいのですが、日本はもちろん、アメリカへ渡る選手も増えています。また、郭泰源や郭源治など、日本で活躍した選手たちが、台湾に帰ってきて、台湾野球の国際化や技術のレベルアップに貢献してくれています。彼らの野球に対する考え方も、とても役に立っています。■道を切り拓く人を育てる永田●日本では2020年にオリンピック・パラリンピックが開かれます。野球に限らず、スポーツが日本の社会に変化をもたらすこともあると思います。その意味で、これからどのような人材が必要だと思いますか。林●大学での人材育成は、社会の変化に対応しなくてはなりません。スポーツは言葉を越えます。同じルールの下で言葉が通じなくても競技はできます。若い選手には、試合を通じて世界と交流し、ひいては健康や平和を実現する、そういう社会的な役割も期待されます。そのために、カリキュラムも含めた改革が必要だと思っています。王●スポーツでは、選手の育成や各競技の発展に目が行きがちですが、同時に、全体を俯瞰して進むべき方向を示し、みんなを動かすような、強いリーダーシップを発揮する人が必要です。ですから、各部門のトップの人にはもっと頑張ってほしいですね。どんな分野でも、然るべき人が本気になれば、みんなついて行くんです。そういう、自ら道を拓き、社会をけん引する人材が、これからいろいろな場面で求められていくと思います。永田●人材育成の面では、大学とスポーツ界とで、一緒にやっていけることもありそうです。お二人のお話を伺って、私も元気づけられました。これからますますのご活躍に期待しています。短い時間でしたが、ありがとうございました。王 貞 治  林 華 韋  永 田 恭 介王貞治氏より林華韋氏より[鼎談]SPECIAL TALKTSUKU COMM13

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