TSUKUCOMM-35
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●両親はロシア人、私は”ドイツ人” 私はアニメやマンガをきっかけに日本に興味を持ち、ドイツの大学で日本語を勉強しました。2012年に1年間、筑波大学に留学してすっかり日本の暮らしが好きになりました。ドイツに帰国して卒業論文を仕上げ、改めて博士前期課程に入学しました。現在、人文社会科学研究科で、SNSを使った語学学習に関する研究をしています。テコンドーサークルにも所属し、日本人や留学生達と練習に励んでいます。 私の両親はロシア人です。私が4歳のときに家族で、ドイツのボンという街に移り住み、今はドイツ国籍を取得しています。両親は日常生活に困らない程度にドイツ語を話しますが、家ではロシア語、食事もロシア料理です。家の中はロシア文化圏ですが、一歩玄関を出れば、ボンの街中で私がどこの国から来たか、ドイツ人かどうかなんて誰も気に留めません。日本でレストランに行くと、友達は箸なのに、私にはナイフやフォークがセットされたりして、「私はガイコクジンなんだ」と感じることがありました。このときに改めて、ドイツではこういう経験はなかったことに気づいたくらいです。●「生活」に溶け込んだドイツの多文化 日本人がドイツ人と聞いて、想像する一般的なイメージは、背が高くて、金髪で瞳の色が薄いといったところだと思いますが、実際は違います。ドイツには多様な人々が暮らしていて、小中高校を通じて私のクラスの半分は帰化した外国人、他民族でした。学校や街では、見た目や文化圏が違う様々な人種に出会います。時にたどたどしいドイツ語で話しかけられても特に違和感は覚えません。学校ではみんなドイツ語で学び、いつの間にか習得していきます。それぞれの宗教やコミュニティが街中にあるのも日常の風景です。ボンには特にトルコ人が多く、おかげでおいしいケバブ店がたくさんあります。肉と野菜が一度に食べらるケバブは、私たちにとって最も身近なファストフードです。週に3度はランチで食べていたかもしれません。  ドイツの高校は午後3時頃には授業が終わります。日本とは違い部活がないので、放課後は自由な時間です。友達同士で互いの家を行き来しておしゃべりしたり、ゲームをしたりして過ごし、そのまま夕飯を一緒にとることもよくありま20 TSUKU COMMドイツ連邦共和国にぎわうボンの街並み筑波大学WTFテコンドー同好会の仲間たち代表的なドイツの郷土料理シュバイネハクセ(Hans-Peter Reichartz/pixelio.de)多文化とナチュラルに共生する人々Heland本学には、100を超える国から、約3千人の留学生が訪れています。このコーナーでは、本学の留学生から、出身国の自慢の場所や風景、食べ物など、多岐にわたって紹介していただきます

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