TSUKUCOMM-38
11/28

がら一緒に活動するので、自分も動けるという実感が得られ、互いに気遣い励ましあうことも身に付きます。先生たちも、できるだけ手を貸さずに見守る姿勢を貫いています。それが子どもたちのやる気を呼び起こし、本来の能力を発揮させるのです。■思い出のイチョウの木と大スクープ KBSニュースでは、学校の歴史や、もうすぐなくなってしまう校舎に対するみんなの思いが紹介されました。タイムトリップをして開校当時の学校から中継するなど、趣向を凝らしたレポートに加え、自分たちが入学する前の校舎の様子を教職員にインタビューしたり、校内の思い出の場所などについて中・高等部の生徒にアンケート調査をした結果が報告され、場内にいる人々はそれぞれの思い出を巡らせているようでした。また、落ち葉や臭いに悩まされもした校庭のイチョウの木が意外な人気スポットだったことも明らかになり、切り倒されてしまうことを残念がる声も紹介されました。 そしていちばんのスクープが、新校舎の完成予定図です。煉瓦造りの校舎のイメージ図がスクリーンに映し出されると、大きな歓声が上がりました。待望の冷暖房に広い廊下、トイレも増設されるとのことで、会場の盛り上がりは最高潮に達しました。■新しい校舎への期待とともに 桐が丘は、国内で唯一の肢体不自由児のための大学附属学校として、特別支援教育の先導的な役割を担ってきました。昭和33年の開校当初はポリオ(小児まひ)の子どもが主で、当時の写真を見ると、ほとんどが松葉杖を使っています。そのため、バリアフリーのような配慮はそれほど必要ありませんでした。その後、周産期医療の進歩に伴い低出生体重児が増え、脳性まひの発生が高まり、車椅子を必要とする子どもが多くなりました。車椅子を使うようになると、そのままの校舎ではかなり不便を感じます。 新しい校舎の設計には、子どもたちの意見もたくさん取り入れられています。車椅子で楽にすれ違うことのできる廊下の幅や、操作のしやすいスイッチの高さなどは、自分たちで計測して提案したもの。それが実現するのですから、今回の発表にはいつにも増して熱が入って当然です。 小学部の発表が終わると、保護者の有志によるコーラスが披露されました。「おかあさん、がんばれ!」と、いつもは励まされる側の子どもたちから声がかかり、会場は暖かい空気に包まれました。 学習発表会は、開校まもなくからずっと続けられてきた伝統のある行事です。指導方法の蓄積や保護者間のネットワークもあります。古い校舎への愛着を持ちつつ、みんなの期待が詰まった新しい校舎でも、楽しい思い出と成長の果実がたくさん生まれることでしょう。西垣昌欣副校長 桐が丘特別支援学校は、個々の個性と障害の実態に応じた教育を行い、豊かな人間性を持ち、卒業後の社会参加や自立を目指す人間の育成を学校教育目標に掲げています。そのためには、小学部・中学部・高等部の各段階で、子どもたちに身に付けさせたい力をしっかり育成していく教育のリレーが大切になります。子どもたちの主体性を大切にしながら、教育課程の全体を通じて、コミュニケーション能力や情報活用能力、問題発見・解決能力等の育成に重点を置いて取り組んでいます。 桐が丘祭は、児童・生徒たちが、それぞれの段階に応じて、目的達成のため自己の能力をフル活用して取り組む行事です。小学部児童の活躍する姿は、育てたい力の土台作りがうまくいっているのか、その手応えのバロメーターになっています。児童の活躍する姿は、教育の成果のバロメーター小学部主事の石田周子教諭とイチョウの木の前で表現する晴れの舞台桐が丘祭附属桐が丘特別支援学校の学校祭。今年は11月3・4日の2日間に渡って、小学部の学習発表会および中・高等部の企画・発表・展示が行われた。児童・生徒が自ら考え進めてきた活動の成果がさまざまな形で表現される他、模擬店やバザーもあり、近隣の住民も数多く訪れる恒例行事となっている。今年のテーマは「桐FEVER!!~情熱を注げ~」。自分たちもお客さんも盛り上がって最高の学校祭にしたい、という児童・生徒たちの思いが込められた。TSUKU COMM 11

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る