TSUKUCOMM-39
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 「自分の常識が書き換えられていく。コロンビアの日常は、本やネットでは決してわからなかった」。こう話すのは、コロンビアの首都ボゴタにあるロス・アンデス大学に、昨年8月から1年間の予定で留学している油井原このみさん。南米特有の女性を取り巻く現状と問題を理解するため、文化人類学やジェンダー論を学んでいる。授業はディスカッション中心のため、事前に文献を理解しておくなど予習が必須。試験も多く、互いに励まし学びあえる留学生仲間が心の支えだ。 最近はルームメイトと英語ではなく、スペイン語で話すようになった。休日も友人の家で過ごすことが多いのは治安上の理由が大きい。常に時間帯や道を選び、周囲に気を配って、誰かと一緒に行動する。始めは日本の生活とのあまりの違いに愕然とした。しかし、これがコロンビアの日常。「自分の常識が通用しない場面に出会ったときでも『そんなものか』と受け入れるようになりました」。この感覚は留学しないと得られなかった、もしかしたら一番の成長かもしれないと笑う。 フォルクローレが好きだったこともあって、南米文化に興味を持ち、大学2年の時にコロンビアへの短期研修に参加し、留学しようと決めた。南米は日本とは大きく文化が異なる上、地理的にも遠く、途中で里帰りというわけにはいかない。留学前に南米の雰囲気を知ることができたのは有意義だったと振り返る。しかし長期留学となれば、アルバイトで貯めた分では資金が足りない。そこで、本学の国際支援窓口「グローバル・コモンズ」で情報を集め、人材交流事業「持続的な社会の安全・安心に貢献するトランスパシフィック協働人材育成プログラム」、文部科学省「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」に応募して、奨学金を得ることができた。 中南米は経済発展が著しく、今後、多くの日系企業の進出が見込まれている。そんな中で、油井原さんの夢は、現地で企業と女性人材の架け橋になること。帰国までには、日系の総合商社でインターンに参加する予定でいる。残り半年、言葉はもちろんのこと、自分の得意分野を磨き、さらに南米らしいタフさを身につけた国際人に成長したい。14 TSUKU COMM文部科学省と本学からの奨学金を得て、ロス・アンデス大学に留学中。将来、ラテンアメリカを舞台に、グローバル企業で女性人材活用のプロになることを目指す。路上で突如始まるフォルクローレのライブが好き。油井原このみさん一般学生団体UTIC(University of Tsukuba International Community)比較文化学類4年留学は今や珍しいものではなくなっています。だからこそ、そこで何を成し遂げてきたいのか、自分なりの目的を持って海外に飛び出してみてください後輩にひとこと常識が覆る感覚

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