TSUKUCOMM-39
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 髙橋晃平さんは「下痢チェッカー Can you drink tap water around the world?」で、本学の起業家養成講座TCCアドバンストの最優秀賞に選ばれた。この講座は、OBの実業家が学生のプランを事業化に向けて指導するもの。最終発表会では、投資家とのマッチングが行われる。事業化支援が約束された髙橋さんの下痢チェッカーは、仲間との雑談からたまたまノリで生まれたと言うが、振り返れば、時間をかけて髙橋さんの中に形作られたアイデアだった。 途上国では多くの子どもたちが、下痢による脱水症で命を落としていることを高専の授業で知って、自分とあまりに異なる世界を初めて想像した。「水が汚いせいで生きられない、生まれた場所で人生がこんなに違うなんて不公平だと思いました」。本学3年次に編入してから、友だちに誘われるまま「日本マラウイ学生団体」へ見学に行ったのは、その思いが呼び起こされたからだ。アフリカの最貧国での活動に、好奇心が刺激された。ところが実際に渡航して、これまで抱いていた不衛生な環境、汚染された水といったイメージは覆された。都市部はもちろん地方でも井戸が引かれ、水は透明だ。でも飲めない。水問題の難しさを知り、見えない汚染の怖さと雑菌除去技術の重要性を実感した。 下痢チェッカーは、その原因となるバクテリアの量を測定し、リスクを細分化することによって、飲料用、うがい用、加熱用の判定をする。装置とスマホアプリが連動して、危険度を表示するという、評価解析と可視化の技術が高く評価されている。しかし販売して採算を取るには、装置のコストダウン、解析精度の向上、技術の転用などの課題があると、髙橋さんは考えている。そのためには一層のアイデア、開発、資金が必要だ。ノリで始めたからと言って、簡単に降りたりはしない。「正直、悩んでいます。でも諦めず、成功するまでやるだけです」。 高専の環境都市工学科で水環境工学を専攻し、本学では微生物間相互作用を研究する。それが次のアイデアに直結するとは限らないが、とにかく今は学びたい。大学でのすべてが、事業家への道に繋がっていると信じて。TSUKU COMM 15TCCアドバンスト講師のひとり、本学OBでフラー代表取締役CEO渋谷修太さんと。長岡高専の先輩で、あこがれの実業家長岡工業高等専門学校卒業後、本学へ3年次編入。留学支援事業「はばたけ!筑大生」でアフリカへ渡航、その経験から生まれたアイデアで学内のビジネスプランコンテストの最優秀賞に輝いた。好きな時間は朝、つくばに来てから特に。筑波大では、高専で身につけた基本的な研究スキルが役立っていると実感しています。編入を目指す人は、自信を持ってチャレンジしてください後輩にひとこと髙橋晃平さん生物資源学類4年一般学生団体 日本マラウイ学生団体ノリ超える

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