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 大学会館の正面広場に、古代ギリシャ様式の石柱がそびえています。これは東京日本橋1丁目、現在の日本橋御幸ビルの場所にあった村井銀行の外壁飾りの一部です。 1973年、本学は建設途上で開学しました。250haもの広大な敷地内に、樹木や彫刻など、少しでも潤いのある要素を加えたいと考えていました。 時を同じくして、破綻した村井銀行に代わって建物を所有していた東海銀行(現・三菱東京UFJ銀行)が、ビルを建て替える際に、建物正面の意匠を特徴づけていたコリント式の柱を残したいと、設計者の子息である吉武泰水副学長(当時)が所属する本学へ寄贈の申し出がありました。 しかし、吉武副学長の実父は、村井銀行を設計した吉武長一氏ではなく、国会議事堂の設計者として知られる東里氏であり、人違いだったのです。その旨を伝えた上で、柱に刻まれた歴史とその美しさはキャンパスに彩りを与えてくれるだろうとして、本学は柱を受贈しました。開学から3年後の1976年のことでした。 平成21年、当時の山田信博学長が、筑波大学のアイデンティティー(UI)の確立を目指すことを表明したことを受け、UI担当副学長のもと広報戦略室及び学長補佐室において「筑波ブランド」の構築の検討を開始し、ブランドの「アイデンティティ」、「コンセプト」、「スローガン」を確立することとしました。そして、本学の第1期生でコピーライターとして活躍している一倉宏氏が、開学からの理念である開かれた大学として、教育、研究をはじめあらゆる面で想像して未来を開くという視点から筑波らしさとして表現した「IMAGINE THE FUTURE.」をスローガンとして平成22年4月に発表しました。筑波大学は未来志向の大学であり続けよう、という強い願いと意志を込めたスローガンです。「.(ピリオド)」「。」には、「物事をやりきる。やり遂げる。」という意味があります。配色は、本学の準基本色である「つくばブルー」を基本とします。また、他には基本色である「つくば紫」や、金、銀、黒でも表現できます。IMAGINE THE FUTURE.(欧文)開かれた未来へ。(和文)ブランド・スローガン半円柱の壁飾りを2つあわせて、1本の独立柱にしている。直径1m 高さ10m 重さ約1t 御影石26 TSUKU COMM“この柱をキャンパス内のどこに立てるかについては激論のあったところであるが、やはりキャンパスの実質的な中心である現在の場所が選ばれた。そのことは、この石柱よりもっとシンボリックな建造物は当分ないであろうと判断されたことを意味し、キャンパス・デザインにおいて特別な重要性を付与されたことを物語るものであろう”『新建築』1979.8月号土肥博至(芸術学系教授/当時)筑波大学のブランディング

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