TSUKUCOMM-40
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みんな緊張気味の様子でしたが、韓国や自分たちのことを知ってもらおうと、この日のために練習を重ねてきたことが感じられる温かいパフォーマンスで、会場は歓声に包まれました。■みるみる打ち解けて その後は、教室へ移動して生徒同士の交流会です。4つのグループに分かれて、折り紙で手裏剣や鳥などを作ります。それほど難しい作業ではないものの、2枚を組み合わせたり、動かすことのできる構造などもあり、ところどころでわかりにくい部分が出てきます。最初は手順書を見ながら一人ひとり取り組んでいましたが、だんだんと、教え合ったり、出来上がった作品を見せ合ったりするようになっていきます。 手話には日本と韓国とで共通の表現もあります。とはいえ、それだけで十分な意思疎通とはいきません。でもそこは、様々な壁を乗り越えてコミュニケーションを図ることに長けた生徒たち。スマホを使ってその場で翻訳した互いの言語や、英語での筆談なども織り交ぜて、いつの間にか折り紙以外のことにも話が弾んでいます。 クライマックスは、各自が折り紙で作った力士で戦う紙相撲大会です。まずグループごとに予選を行い代表選手を選びました。決勝トーナメントに出場したのは、日本と韓国から2名ずつ。小さな土俵のまわりに集まってみんなで声援をおくります。白熱戦の末、韓国の女子生徒が優勝し、はにかみながらも堂々のスピーチに、改めて拍手が湧きました。 韓国の生徒代表で高校2年のパク・ジュンビンさんは、「パソコン越しの交流の時は堅苦しい感じもあったけれど、直接会うと、気楽にいろいろなことが表現できた。こういう機会が増えてほしい」と、話してくれました。■もっと知り合いたい! 盛り上がっている交流会も、そろそろお別れの時間です。プレゼント交換をしたり、写真を撮り合ったり、みんなとても名残惜しそう。なかなか教室を離れることができません。校門で、双方の教員・生徒が揃った最後の記念撮影をして、ようやく見送りました。 交流会の司会として大活躍だった、中学部2年の岸田朋花さんと大和田舞香さんは、「準備は大変だったけれど、一緒に活動ができてとてもうれしい。今度は自分たちが韓国へ行って、どんなふうに勉強しているのか見てみたい」「言葉がわからなくても、身振り手振りで通じることが楽しかった。これからお互いのことをもっと教え合って、わかり合いたい」と、それぞれ充実した表情で、交流会を振り返りました。 言語が通じれば、コミュニケーションが成立するわけではありません。今日1日を通して、相手のことをよく知りたい、親しくなりたい、その気持ちが交流の原点であることに気付かせてくれる場面がたくさんありました。そういう気持ちを抱いたこと自体が、生徒たちにとっては大きな成長。楽しい思い出とともに、国際人としての第一歩を踏み出した日となりました。佐坂佳晃 中学部主事 調印式での校長挨拶は、互いを高く評価しつつ、今後の更なる交流の発展を願ったものでした。その後に行われたソウル聾学校の生徒によるパフォーマンスはどれも見事で、とりわけリングを使ったマジックは、プロのマジシャンと見紛うほどの腕前で、会場が一気に盛り上がりました。 今回、交流学習を行った2年生は、昨年度、ソウル聾学校とのオンラインでの交流学習を経験しており、互いに打ち解けるのに時間はかかりませんでした。昼食後の自由時間には、積極的に校舎内の案内をしたり、最後の見送りでは、抱き合って別れを惜しんだりと、これまでのオンライン交流では為し得ない深い交流を見ることができました。 今後もオンラインを中心に交流を行い、将来的には教科学習に関する共同研究も視野に入れていきたいと考えています。つながりを深め、広げていく始まる国際交流国立ソウル聾学校との国際交流協定2008・2009年、特別支援教育における美術教育の教材開発を目的に、本学附属聴覚特別支援学校の教員が国立ソウル聾学校(韓国)を訪問したことから、両校の教員間交流がスタートした。これが生徒間のオンライン交流へと発展し、2015年、両校は国際交流協定を締結した。2018年5月31日にソウル聾学校の教員・生徒たち26名が初めて来校し、この活動をさらに5年間延長するための協定調印式および交流会が行われた。

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