TSUKUCOMM-40
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ライフセービングは、水辺の事故を未然に防ぐ活動で、海水浴シーズンには浜辺のパトロールや救助を行う。また、日頃のトレーニングで培った救助技術を競うライフセービング競技会も開かれている。古川萌子さんは、大学入学後、新しいことにチャレンジしようとライフセービング部に入部した。「自然の中で過ごせて、スポーツもできて、社会貢献もできる。ここならやりたいことが全部できる」。初めは、波を越えようにも道具も扱えなければ、泳ぐのも怖く、なす術がなかったが、レスキューボード、スイム、サーフスキー、ビーチランなど、競技会に向けて練習をするうちに、徐々に沖に出られるようになった。本学のライフセービング部は、1992年に国立大で初めて誕生した。夏は茨城県鉾田市の大竹海岸を拠点に監視救助業務を行っている。鉾田市や警察署と連携し、地元のライフセービングクラブの一員として、大竹海岸鉾田海水浴場の19年連続死亡事故ゼロに貢献してきた。古川さんにとってもパトロールは大切な活動。ビーチにいる大勢の人それぞれに目を配り、危険を察知したら、相手を不快にしないように気を付けながら、注意を促す。迷子の捜索やケガ人の搬送などでは、普段の生活で聞くのとは違った重みのある『ありがとう』の言葉をもらい、清々しい気持ちになる。ライフセービング技術が高ければ、その分、救助に行ける範囲が広がる。短い海水浴シーズンのパトロールに備えて、年間を通じて陸上練習のほか、週末には大竹海岸で水上トレーニングに打ち込む。その努力が実り、2017年の全日本ライフセービング種目別選手権で、古川さんは表彰台に立った。大学院受験や卒業研究との両立は容易ではなかった。しかし先輩たちが同じように乗り越えてきたのに、自分にできないわけはないと信じ、練習後も24時まで図書館で勉強した。大学院では、燃料電池の酸素還元触媒の研究をしている。燃料電池用触媒として白金に代わる活性を示す非金属分子の探究など、百万分の1ミリの世界が暮らしに役立つ材料につながっていると思うとワクワクする。将来は「どんな職業に就いても、役に立てる人になりたい」。大学院1年生の夏も、浜に立つ。オーストラリア・ゴールドコーストでのパトロール2017年の全日本ライフセービング種目別選手権で、サーフスキー3位、2018年の全日本ライフセービング・プール競技選手権でSERC2位。毎年7月から8月の海水浴シーズンには、鉾田市大竹海岸でライフセーバーとして活動する。中央図書館2階の学習室が好き。海から帰ってきて勉強モードに切り替えられる場所。後輩にひとこと筑波大ではいろんな人に出会えて、高校時代よりずっと世界が広げられると思います。勉強と両立できるかなんて不安は努力でなんとでもなります。尻込みせず、思い切ってチャレンジしてください役立つ人になる古川萌子さん数理物質科学研究科(博士前期課程)物性・分子工学専攻1年ライフセービング部

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