TSUKUCOMM-40
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2018年4月、木村友輔さんは、学生起業家を対象としたコンペティション「EO GSEA」の世界大会に、日本代表として参加した。この大会は国際的な経営者団体「Entrepreneurs' Organization」の主催で行われる。世界52カ国から選ばれた同世代の参加者と、それぞれが描くビジネスのビジョンを語り合う中で、地球規模でマーケットを捉え、貧困や環境といった世界的な課題を解決しようとしている目的意識の高さに、木村さんはレベルの違いを痛感した。「国内のビジネスコンテストで評価されているうちに、天狗になっていたんでしょうね。視野の広さ、視座の高さ、技術の確かさ、僕の鼻はことごとくへし折られました。でも心は折れなかった。もっと向上したい」。世界大会のファイナリストにはなれなかったが、起業家としてのモチベーションを高める好機となった。プロサッカー選手を目指していた木村さんは、高校1年生の時に大ケガに見舞われた。治療やリハビリが思うように進まず焦っていたときに、稲盛和夫著の『生き方』を読んで経営者に憧れるようになった。当時のアイデアノートには、スポーツに関連した新しいビジネスを立ち上げたい、と書いてある。体育・スポーツを存分に学べる筑波大に進学したいと考えるようになったのはこの頃だ。大学1年の時、蹴球部の活動で小学生を指導する際、練習メニューづくりに悩んだ経験をもとに、トレーニング情報を共有するサイトのプランを学内の起業家教育講座で発表した。これにメンターのOB起業家やシステム開発に詳しい学生が賛同してくれた。起業の資金調達にクラウドファンディングを紹介してくれたのも、別の授業で知り合ったOBだった。多くの人の助けを得て、想像以上のスピードで起業を果たした。周囲を巻き込む力は木村さんの大きな強みだ。昨年度1年間、事業に専念したいと大学を休学した。復学した今、「時間をかけて学ぶということがいかに贅沢か。立ち止まって、考えを深めるために、大切に過ごしたい」という。GSEAを終えて、表面的な課題の奥にある、本質的な問題を見極めたいと考えるようになった。自らのステップアップと次のビジネスに向けて、木村さんは貪欲に学ぶ。EO GSEAに参加した各国のファイナリストと学内の起業家教育プログラムへの参加をきっかけに、サッカートレーニング共有サイトを立ちあげ、国内のビジネスコンテストで多数受賞。2016年、大学2年の秋に株式会社シェアトレを設立、2018年4月、世界52カ国から学生起業家が集うコンクールEO GSEAに日本代表として出場。常にノートを携帯し、アイデアや気になったことはとにかく書き留める。マジョリティから外れることを恐れず、好きなことを突き詰めてほしい。自分ととことん向き合える大学時代、考えているだけでなくて動き始めてください後輩にひとこと時間をかけて学ぶ木村友輔さん株式会社シェアトレ代表体育専門学群3年

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