TSUKUCOMM-41
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■それぞれのコミュニケーション学校まで付き添ってきてくれたお母さんと離れるときに泣き出す子もいれば、あっさり教室へ向かう子もいます。最初の20分ほどは、自由に過ごすウォームアップの時間。走り回ったり先生にまとわりついたりする様は、どこにでもいる子供たちと変わりません。みんなで歌って体を動かす「音楽タイム」が始まると、子供たちの個性やその日の調子が現れます。ベンチに座って一緒に活動する、教室の隅の方に隠れてしまう、など、さっきまでとは違った行動も。とはいえ、ただ自分勝手に振舞っているわけではなく、周りの様子を窺いながら、自分の立ち位置を探っているようです。先生たちも、無理に座らせたりはせず、付かず離れず見守ります。自閉症の特徴の一つはコミュニケーションが苦手なこと。よく喋っていても独り言のようだったり、言葉が不明瞭なこともありますし、言葉でなく指差しなど、独特な伝え方も見られます。そのことがわかってもらえないと、人と関わりたいという気持ちはあるのに意思疎通がうまくいかず、つまずいてしまうのです。■経験の共有をきっかけにそのつまずきを乗り越えるには、人と関わることが楽しい、という経験をたくさん積み重ねることが一番です。七夕やプールなど、季節の行事も取り入れながら、時には保護者も加わり、先生や友達と一緒に様々な経験をして、楽しい思い出を作っていきます。それを振り返ることが、コミュニケーションのきっかけになります。教室には年間を通じたいろいろな活動の写真が貼ってあり、それを眺めて、その時に自分が感じたことを表現します。共通の思い出だからこそ、先生や友達との会話も弾みます。この日行われたプール遊びは、子供たちの成長がよくわかる活動の一つです。2年前に、海を見下ろす大きなプールができて、夏の楽しみが増えました。年少クラスの時は水が顔にか筑波大学には11の附属学校があり、それぞれの分野でわが国の教育をリードしています。各学校のユニークな先生や授業、行事などの活動を紹介します。たくさんの経験をたくさんの 「附属学校めぐり筑波大学附属久里浜特別支援学校附属久里浜特別支援学校 幼稚部特別支援学校の中で知的障害を対象にした幼稚部があるのは全国でわずか8校、そのうち自閉症を伴う幼児のための教育実践・研究を行う唯一の教育機関。現在、3~5歳の計17人が在籍し、3クラスで10人の教員が指導にあたっている。人との関わりやコミュニケーション力を育む活動に重点を置くとともに、保護者や地域社会との連携、幼児期の特別支援教育に関する情報発信にも取り組んでおり、特別支援学校としての先導的な役割を担う。10

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