TSUKUCOMM-41
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 9月開催の世界剣道選手権大会の日本代表に、星子啓太さんは学生で唯一、選抜された。この大会は3年に一度、アジア、アメリカ、ヨーロッパの持ち回りで開かれ、国別団体戦と個人戦で順位を競う。今回の開催国の韓国は、全戦勝利で完全優勝を目指す日本にとって最大のライバル。これまで日本は2006年に、団体戦で破れており、どちらにとっても負けられない戦いだ。 小学校1年のとき、姉の「ついで」に剣道を始めてから、6年で全国大会で準優勝するほど腕をあげた。「ただ勝つのが楽しかった」という少年時代、中学では伸び悩んだものの、強豪校九州学院高校からの誘いをうけて進学。食事や生活スタイルを見直して、高校では一層、稽古に励み、インターハイで団体・個人ともに優勝を果たした。 身長、スピード、パワーのどれも飛び抜けた強みはないが、それらのバランスと安定感が自分の武器だと、星子さんは分析する。「こう打ちたいというイメージを持って練習して、その通りに実践できた時は嬉しいし、自分が打たれて先輩からアドバイスをもらうことも、目標ができたと思えて嬉しい。練習は遊びの延長というか、剣道をすることが純粋に面白い」と話す。 そうは言ってもプレッシャーを感じることもある。代表に選出された以上、学生の大会では負けたくない。不安と焦りから集中できず、全日本学生選手権大会、全日本選手権予選大会のどちらも満足いく結果が出なかった。その後の代表合宿で、悩む姿を見かねた先輩に「楽しめ」と励まされた。まわりはみんな格上の選手。気負わず狙い、恐れず思いきって打ち込んでいくうちに、剣道のスタイルを取り戻した。稽古を楽しみ、稽古に救われた。 星子さんは、剣道部夏合宿の合間、学内の剣道場で世界大会に向けて抱負を語った。「準備はしました。もう不安はありません。気負って負けるよりは、やってきたことをすべて出して、あとは先輩たちに託す気持ちで臨みたい」。道場に、夏の終わりの風が吹く。道場の窓際には優勝杯が並ぶ2018年9月に韓国で開催される第17回世界剣道選手権大会に、大学生として唯一、代表メンバーに選出。第64回関東学生剣道選手権大会優勝、第66回全日本学生剣道選手権3位。得意技は小手。目標にしている剣道家は6度の日本一記録を持つ宮崎正裕教士8段。その記録をいつか塗り替えることが夢。自称人見知り。好きな授業は「哲学通論」。後輩にひとこと高校まで剣道ばかりに時間を費やしてきたので、大学の授業について行けるのか不安もありました。でも部活は練習の質を重視していて、勉強時間も確保できます。筑波大なら、仲間と切磋琢磨して、正真正銘の文武両道が目指せます遊ぶように、稽古を楽しむ星子啓太さん体育専門学群2年剣道部

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