TSUKUCOMM-41
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 子どもの頃からものづくりに関わる仕事がしたいと思っていた宮澤菜々子さんは、社会工学類に入学後、都市計画主専攻に建築士受験資格が取得できるカリキュラムがあることを知った。建築士を志すなら、まずは実際に家づくりに関わってみたい。調べてみると、国際NGO団体「Habitat for Humanity」が、貧困地区の住居建築に参加するボランティアチームを募集している。このプロジェクトでは、支援対象の地域で、NGOが事前に調達した材料や準備した工程に従って、世界中から集まった若者が、現地の大工や大学生と共に、ブロックを積み、竹を編むといった作業を行い、簡素な家を建てる。宮澤さんは持ち前の行動力を発揮し、「海外建築ボランティアサークルLUZ」を学内に立ち上げた。そして仲間とチームを組むと、2年生の夏休みにカンボジア、翌年にはミャンマーで、約2週間ずつ活動に参加した。 経済成長の著しいミャンマーでは、一緒に活動した現地の学生たちが「国の発展を担うために、もっと学びたい」と強く語っていた。宮澤さんは、自分も含め日本人の友人から「国のために」といった言葉は聞いたことがない。驚きと同時に不公平感を憶えた。どんなに向学心が強くてもインフラが整っておらず生活基盤が不十分なために、留学や進学のチャンスに恵まれない学生も多い。現場に立ち、体を動かし、国際開発に携わる人々に出会ううちに、どんどん自分の関心が広がっていった。「途上国の発展につながるような、インフラ整備を含むまちづくりに携わりたいと思うようになりました」。 3年生になった現在、宮澤さんは都市計画を中心に学んでいる。「将来の職業を思い描いて大学に入学する人もいるかもしれませんが、私はそうではありませんでした。でも目標ができ、研究室で先生や大学院生の話を聞く機会が増えて、大学で学ぶ面白さを実感しています」と話す。この夏は、TOD(公共交通指向型開発)の分野で現地調査を行う企業のインターンとして、再びミャンマーを訪れる。途上国は、まだ何者でもない自分に針路を示してくれた。熱気あふれる、国際開発の真ん中へ。ミャンマーでの活動途上国への住宅支援を行う国際NGO団体「Habitat for Humanity」の「健全な生活を営む生活基盤となる“住まい”を支援する」という理念に共感して、学内で海外建築ボランティアサークルLUZを立ち上げた。これまでカンボジア、ミャンマーで貧困地域の住宅施工ボランティアに参加。好きな授業は「都市計画実習」、少人数でのディスカッションやフィールドワークが刺激的だから。大学生になって、自由な時間の使い方に悩む人も多いはず。私もそうでした。でも、興味があることに勇気を出して踏み込んでみてください。失敗を含めて、すべてが自分の未来につながると、身を持って感じています後輩にひとこと発展の途上宮澤菜々子さん海外建築ボランティアサークルLUZ代表理工学群社会工学類3年

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