TSUKUCOMM-42
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本学では、毎年6月に学生全員の体力測定を行う。その時、医学類の新入生の中で、圧倒的な速さでトラックを走る川瀬宙夢さんを見て、陸上競技部コーチの榎本靖士准教授(体育系)が声をかけた。「部活は敷居が高いと躊躇していたのですが、ずっと憧れてきた箱根駅伝出場を目指すチャンスだと、飛び込みました」。ところが、1年生の夏合宿では体が追いつかず、疲労骨折をしてしまう。中学からの選手生活を振り返り、栄養と基礎トレーニングを見直した。この経験が自分の体を客観的に捉える力となり、翌年は、春から次々に自己ベストを更新。解剖実習や臨床実習前試験など学業が多忙な中でも、3年連続で箱根駅伝予選会出場を果たした。陸上競技部は1994年を最後に本大会への出場がない。そこで2011年に「箱根駅伝復活プロジェクト」が始まった。駅伝復活を目指すと共に、高い競技能力と倫理観に加え、知的探究心をもって自身の能力を高め、社会に貢献できる人材を育成することも目指している。川瀬さんは、このプロジェクトと共に成長してきた。2018年、主将として箱根駅伝出場に挑んだ。冬季トレーニング、関東インカレ、全日本大学駅伝予選会と、チームは段階的に成長している実感があった。しかし、予選会の結果は17位。出場枠11チームには遠く、目標タイムにも届かなかった。「成長してきたとはいえ、メンバーの体力や走力には差があり、疲労を取り除く、トレーニング強度を上げるといった調整には、難しさもあった。しかしこのチームは、本学の陸上競技部史上、最速の集団であることは間違いないので、この先は未知の領域。約40人の長距離チーム全員が、自分の実力と箱根駅伝との距離を把握して、それを縮めるためにすべきことを必死に、着実に積み上げていけば、必ず届く」。悔しさを噛み締めつつ、箱根駅伝出場を後輩に託した。川瀬さんの夢は選手の思いを理解し、かつ選択を誤ることのないように導くスポーツドクターになること。4年間を仲間と共に走りきった経験は、医師としてもかけがえのないものになるはずだ。箱根駅伝出場を目指し、2016年から予選会に出場。2018年はキャプテンとしてチームを牽引した。将来の夢はスポーツドクターになって、世界大会に帯同すること。駅伝は後輩に託したが、3000メートル障害でのインカレ入賞を次の目標に走り続ける。後輩にひとこと陸上競技部に入るのに、特別な選考基準はありません。自分に厳しく、自分を楽しみに思える選手が集まって、実際に向上しています。筑波大は考える場を与えてくれ、育ててくれる。文武両道を目指すなら、ぜひ本学に来てほしいです川瀬宙夢さん医学群医学類4年陸上競技部必ず届く

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