TSUKUCOMM-43
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附属学校めぐり筑波大学には11の附属学校があり、それぞれの分野でわが国の教育をリードしています。各学校のユニークな先生や授業、行事などの活動を紹介します。先生たちの真剣勝負 ワンランク筑波大学附属小学校学習公開・初等教育研修会附属小学校において大正2年から開催されている、小学校教員や初等教育研究者のための研修会。6月と2月の年2回行われており、毎回、全国から数千人が訪れる。特に2月に実施される会では、各教科の公開授業の他、学習指導要領の改訂などの流れを先取りした新しい授業方法を、実際の授業形式で提案する。自由で活発な議論も行われ、研究校としての附属小の成果発表の機会であると同時に、教育理論と現場での実践が交流する場にもなっている。■ステージ上での授業附属小学校の講堂に、1,000人以上の小学校教員や教育研究者が集まりました。立ち見や床に座っている人も大勢います。ステージ上には教室が再現され、5年生のクラスが席に着きました。ここで行われるのは算数の提案授業。担当の田中博史先生の号令で、訪れた人々に元気よく挨拶をして、授業が始まりました。今日、学習するのは「割合」です。5色に塗り分けられた棒グラフのような図を見せて、「赤は何倍ですか?」と先生が尋ねます。すると子どもたちから、「何の?」と逆に質問が。基準が決まらないと比べられないことを確かめます。この図には数字や単位は一切書かれていませんから、目分量で棒の長さを比べます。「赤は青の1.2倍。では、青は赤の何倍?」ここから議論が始まります。「0.8倍」という意見が出され、みんな同意したようですが、なぜそう考えるか、となると不安げです。隣の席同士で説明しあったり、各自でノートにまとめてみたりしながら話し合いを進めるものの、どうもすっきりしない様子。そのうち、図を書いたり計算式を作って説明する子どもたちが現れ、議論は盛り上がっていきます。その中で、1からみた0.2と、1.2からみた0.2は違う、ということに気づきます。そうやって自分で考えて、基にする量が異なると、比べた時の量も変わることを理解するのです。10

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