TSUKUCOMM-43
12/24

 レオニッド ザイリオン ディマーノさんは、フィリピン大学で化学工学を専攻していた。3年次のある時、成績優秀者として、大学から留学が打診され、提示されたのはカナダの大学と日本の筑波大学。「留学は全く考えていませんでした。でもチャンスだと思って、親戚の住んでいるカナダより、よく知らない日本に行きたいと思いました」。 本学の生命環境学際は、卒業要件に必要な授業すべてを英語で受講できる。言語の障壁がないとはいえ、全く知らない土地で、異なる分野を1年次からやり直すことになる。しかし環境科学は、開発国のフィリピンの未来にとって、持続可能性の観点から重要な分野。留学に迷いはなかった。「フィリピンでは学び方を身につけました。ここでは、学んだことを、社会にどう生かすかということを学んでいます」。 レオニッドさんは、筑波大で他の留学生と交流するうちに、自ずと周辺諸国にも関心が向いた。「筑波大はインターナショナルだと思います。フィリピンにいた頃は、外国に行くなんて思いもしませんでした。東南アジアの国々は似通って見えますが、それぞれの宗教や民族、発展の道筋は違っていて、とても興味深いです」。 2月には、マレーシア工科大学で、本学学生と現地学生あわせて40人が、「持続可能な開発目標(SDGs)の達成」をテーマに議論するプログラムに参加した。6人程度のグループに分かれて、それぞれ、SDGsが掲げる17のゴールのいずれか1つについて検討する。レオニッドさんらは、「安全な水とトイレを世界中に」をテーマに、3日にわたって、実社会での課題抽出、途上国と先進国の開発協力例の調査、解決法の提言を行った。「日本、マレーシア、ベトナム、バングラディッシュといったいろいろな国の人と、じっくり議論できました。自分の知識では追いつかない現実や、異なる考え方を知ることできたのが何よりの収穫」と語る。 大学は自ら問いをたて、学びを広げ、深める場所。そして、世界中から学生が集い、まだ知らない世界へつながるハブの役割を担っている。レオニッドさんは、本学で、工学から環境科学に、そしてフィリピンから東南アジアへと関心を広げた。この関心を役立たせる道を、留学中に見つけたい。フィリピン大学を中退し、2016年10月に生命環境学際に入学。2019年2月にはマレーシア工科大学と本学の交流プログラムに参加し、SDGsに関して東南アジアの学生たちと意見を交換した。4月からは仲間と、学内の持続的な環境づくりを推進するサークルを立ち上げる。好きな授業は、他専攻の国際開発に関する科目。異なる視点から途上国開発を考えることができたから。後輩にひとこと留学先では、新しい環境で、初めてのことをどんどん吸収しなくてはいけません。その過程で、自分の成長を必ず実感できるはず。ただ、「何でも経験だ」と欲張らず、努力できること、心躍ることを見失わないように過ごすのが大事だと思いますレオニッド ザイリオン ディマーノさん生命環境学群生物資源学類生命環境学際3年離れて深まる。アジアへの関心筑波筑波

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る