TSUKUCOMM-44
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 パラ陸上競技は、障害の種類と程度により細かくクラス分けがされている。その中で銭場さんの専門は、「T63」(片側に大腿義足を装着し競技を行う)というクラスの走り幅跳びだ。義足になったのは、小学校5年生の時だったが、陸上競技を始めたのは中学校2年生の頃、同じ障害を持つ人たちが集まる陸上クラブに入ったのがきっかけだった。そこでは、義足を装着しながら様々なスポーツをする人たちがいて、その姿に驚きを覚えたという。 初めは単にそこに通うだけだった。しかし、次第に競技に参加したいという気持ちが強くなり、高校では陸上競技部に入部して、健常者に交じって練習をするようになった。100mを中心に練習に取り組み、高校2年生の時にマレーシアで開催された「2013年アジアユースパラゲームス」の選手に選ばれた。同時に、200mと走り幅跳びにも出場することとなり、その練習をする中で走り幅跳びに楽しさを感じ、以後はそれが専門の種目となった。 大学進学にあたっては、陸上競技を続けたいという思いと、理系への進路を希望していたことなどから本学を選び、工学システム学類に入学した。この4月からは大学院に進学し、複合素材のシミュレーションなどの研究を行いながら、週4~5日程度、陸上競技の練習に加えて、義足に負けない筋力を養うためのトレーニングも行っている。今シーズンは、踏切のタイミングなどが合わず、なかなか思うような結果につながっていないが、自己記録更新への自信はある。6月1日~2日に大阪で行われる日本パラ陸上競技選手権大会に向け、日々練習に力を注いでいる。もちろん、パラリンピックへ出場したいという思いもある。現状では厳しいが、限られた試合の中でしっかり結果を積み重ねていきたいと語る。 今後は、障害を持っている人たちに、もっと気軽にスポーツを楽しんでもらえるようサポートすることなどにも関わりたいという。また、大学での研究を義足の制作にも役立たせたいとも考えている。 そんな銭場さん、目標に向かって、今日も跳び続ける。中学生の頃に義足での陸上競技を始め、高校2年で「2013年アジアユースパラゲームス」に出場した。現在は、走り幅跳びを専門としている。小柄だが、陸上競技場のトラックで躍動する姿は逞しい。何にどれだけの力を注ぐのかを自分自身で決定することが、大学では大切なことだと思います。固定観念に捉われず、多様な人々から刺激を受けながら、より良い学生生活にしていって欲しいと思います。後輩にひとこと銭場望美さん陸上競技部システム情報工学研究科(博士前期課程)構造エネルギー工学専攻1年自己への挑戦大生大生

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