TSUKUCOMM-44
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2021年度(2021年4月入学)から、日本の大学の入試制度は大きく変わろうとしています。これに伴い、筑波大学も新しい入試の仕組みを導入します。その概要を、4回にわたって紹介します。筑波大学の入試改革 2学びの成果や姿勢を評価するための「調査書利用」 筑波大学では、2021年度入試(2021年4月入学)から、すべての入学者選抜において、学力の3要素である「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(以下、主体性等)」を確認し、高校教育における学びの成果や姿勢を多面的に評価します。 「主体性等」の確認は、学力試験によって測ることが難しい能力や姿勢をより適切に評価するためのものであり、配点の比重や実施方法は、選抜や学群・学類のアドミッション・ポリシーによります。 自己推薦書や面接を通して「主体性等」を積極的に確認し評価してきたアドミッションセンター入試や推薦入試については、今後もこの方針を維持します。 個別学力検査等では、従来から「基礎的な知識・技能」にとどまらない、高度な「思考力・判断力・表現力」を求めてきました。主体的な学びの成果はこれらから十分に測ることができるため、一般選抜においてはこの二つを重視してきましたが、より適切に評価するために、「主体性等」についても評価に加えます。面接・小論文・適性試験等を活用するほか、一部では調査書を点数化するという方法を導入します。 一例として、2021年度前期日程試験(総合選抜)での調査書の扱いを紹介します。総合選抜では具体的な評価項目として、①学習等、②部活動・ボランティア・留学等、③特別活動(生徒会・委員会・クラス係等)、④その他の活動等、⑤賞・資格等の5項目を定め、計50点満点で評価します。大学入学共通テストや個別学力検査等と合わせた配点2,450点のうち、50点が調査書を評価した点数となります。その主たる判断基準は、肯定的な内容や具体的な活動といった事実の記載の有無です。本学は、学校での日常的な学びにおける主体性が最も重要であると考えていますので、際立った活動歴や活躍、特別な資格の提示を求めるものではなく、通常の学びを重視します。 このような評価方法とするのは、高校教育における学びの成果や姿勢を評価することが目的であり、高校や高校生に全く新しい実践や過重な負担を強いるものではありません。 調査書は、受験生が過ごした豊かな高校生活を示してくれる貴重な資料です。選抜のために用いるだけではなく、調査書で評価することを通じ、学びを引き継ぐ大学として、高校教育の現状や改革の方向をより深く理解するためにも活用していきます。入学者選抜において評価する力と入試による相異                   22

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