TSUKUCOMM-44
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関するモデルにおいても、ほとんど同じ形になります。もちろん、パラメータごとに複雑な数式が含まれますし、実際の計算では何億ものデータを扱いますから、簡単に答えが得られるわけではありませんが、互いに影響を与えるということで考えれば、全く違った現象のようであっても、共通のモデル化の手法が使えるのです。アルゴリズムの観点からは、そのようにして様々なシミュレーションやデータ解析を行います。その性能を上げていくことで、より正確に現実社会を捉え、適切なフィードバックが可能になります。■学際性を活かしたAI研究これからの社会では、AIだけでなく、コンピュータや様々なデジタルデバイスなどが、どんどんと使われるようになるはずです。その流れをしっかりと捉え、対応していくために、筑波大学では2017年に「人工知能科学センター」を設立しました。コンピュータサイエンスや情報系の研究者が揃っていることに加えて、学際研究をしやすい環境が整っているのが本学の強み。単にAIの基盤技術を研究するだけではなく、それぞれの研究グループが持っている膨大なデータを、AI研究で有効活用していくための核としての役割を担っています。AIは、解析したいものがあって初めて、その力を発揮します。ですから、解析すべきデータを持っている分野と協働することは必須です。逆にいうと、解析の術がなければ、せっかくのデータを活かすことはできません。医療、モビリティ、農業、スポーツ、さらにはマーケット分析など多岐に渡る分野でAI活用のポテンシャルがあり、そこをつないでいこうというわけです。その一つとして、附属病院で蓄積したデータを集めて解析するプロジェクトが進んでいます。■人とAIがコラボする社会へ人間の生活は膨大なデータの塊。日々の行動パターンや健康情報などを蓄積すれば、その中から病気などの予兆を見つけて適切なアドバイスを提供することが可能です。スマートフォンなどのデバイスにはたくさんのセンサーが搭載されており、個人の筑波大学 人工知能科学センターAIに関する先進的研究と教育を推進するため、2017年4月に設立された。本学の特徴の一つである学際性を生かし、AIの基盤的な研究にとどまらず、また、医療・健康・スポーツ・アート・モビリティなど、学内の様々な分野の研究グループが、横断的にAIを活用したネットワークを形成するためのハブ機能を担う。「人を支援するAI」の開発を重視し、超スマート社会の実現に向け、学内の各センターとともに、実用化・産業展開までを見据えた産学連携も図る。

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