TSUKUCOMM-44
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映画に関心を持ったきっかけはどのようなことだったのでしょうか。もともとは芝居がやりたかったんです。舞台や映画を見たことはほとんどなかったのですが、中学生の頃に、自分の体ひとつでできる仕事に就きたいと思って、役者かな、と。それで、ある演劇のワークショップに参加したら、すっかりハマってしまって。大学の演劇サークルでも、みんなで稽古場に入り浸っているのが楽しかった。2年目からは脚本も書くようになりました。その夏休みに、東京の劇団員たちと一緒に芝居をする機会があって、それは大学でやっているのとは大違いで刺激的で、のめりこみました。大学をやめるつもりで、両親に土下座までしましたが、卒業だけはすることにしたんです。結局、大学には5年いました。でも最後の1年間は、在籍だけして海外を放浪しました。大学がそれを許してくれたことはとてもありがたかったですね。その時に、フランスでなんとなく見た台湾映画に衝撃を受けたんです。台湾語のセリフにフランス語の字幕なのに、言葉がわからなくても伝わってくる。映画の素晴らしさに気づきました。筑波大学での学びや生活は、演劇や映画制作に役立つものでしたか。父親の仕事の関係で、高校の2年間を南米のチリで過ごしました。日本に戻って帰国子女枠で受験できる国公立、となると、筑波大一択だったんです。それまで男子校だったので女子が多そうなこと、それに、芝居がやりやすいだろうと考えて、人間学類を選びました。一度はやめようと思ったとはいえ、大学や勉強が嫌だったわけではないので、学生生活は楽しかったです。他の学類の授業も履修で映画監督甲斐博和氏移りゆく大切な瞬間を映像に残して

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