TSUKUCOMM-47
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 マレーシア出身のヨーン・ペーンさんは、とても国際色豊かな家庭で育った。 中国系マレーシア人の両親は、同時期に留学していた東京の日本語学校で出会い、結婚した。父は今、中古の農業機械などを日本で買い付け、マレーシアで販売する事業を営んでいる。姉2人、妹と弟の5人きょうだいだが、2人の姉は中国の北京と南京で学び、妹はカナダ・トロントに留学中。高校2年生の弟も、海外に旅立つことを計画している。 「とりあえず世界に出よ」。それがヨーンさん一家の家訓だ。世界は大きく、自分は小さな存在であることを知るためだという。 父が日本から持ち帰るお菓子や絵本が素敵だとあこがれ、中国語に翻訳された日本の漫画や小説にも親しんできたヨーンさん。フランスで菓子職人になりたいと思ったこともあったが、日本留学はごく自然な流れだった。 来日したのは高校卒業後の2016年秋。日本語学校を経て、18年4月に本学の社会・国際学群国際総合学類に入学した。社会科学を学び、将来は国際機関で働きたいという希望を実現するため、本学を選んだ。 「キャンパスが広く、緑に恵まれ、図書館などの施設も充実しており、筑波大を選んで本当によかった」と語る。留学生の出身国も多様性に富み、多くの友人にも恵まれた。 4月に3年生となり、言語人類学のゼミを選択した。留学生仲間は日本語も英語も母国語も上手だが、何語を話すかで、性格や行動が変わって見えることに興味があった。 ヨーンさん自身、メキシコ人留学生に「今日は寒いね」と日本語で話かけ、「(天気のことを話すなんて)、めっちゃ日本だね」と言われたことがある。中国語、英語、マレー語も話すヨーンさんだが、日本語以外で天気のことを話題にすることはまずないという。 そんな言葉の不思議を体験するうちに「将来は通訳や翻訳の仕事をするのもよいかな」と考えるようになった。 勉学以外の活動にも積極的だ。つくば市や土浦市の国際交流事業に参加し、つくば市内の科学館「つくばエキスポセンター」では、子どもたちと一緒に工作したりするアルバイトも。学生たちから使い終わった教科書を提供してもらい、その販売収入を途上国の子どもたちに送る取り組みも進めている。 「やりたいと思ったら、何でも体験してみる」。ヨーンさんの好奇心は、留学の地つくばで、いかんなく発揮されている。後輩にひとこと目の前に高い壁があっても、恐れずに、しっかり、ゆっくり取り組めば、必ず乗り越えられます。筑波大学はさまざまな挑戦ができる機会に恵まれている場所です。好奇心を原動力に土浦市内の小学校で母国を紹介ヨーン・ペーン さん社会・国際学群国際総合学類3年Yong PENGYong PENG最近、納豆が食べられるようになった。「ドリアンの国から来たので、においは気にならない」と笑顔で話す。

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