TSUKUCOMM-47
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 つくば市内の大学で学ぶ大学院生らが手話通訳付きで研究内容を発表する「みんなの学会」が2月15日、同市のノバホールで開かれました。学生や研究者、市内の手話サークル参加者ら延べ約150人の地域住民が出席。つくばで行われている多彩な研究活動の一端を知り、手話表現の豊かさを体感しました。 発表者は本学の生命科学環境研究科博士前期課程2年の鈴木佑弥さん、図書館情報メディア研究科博士後期課程2年の設楽明寿さんと筑波技術大学、筑波学院大学からそれぞれ1人の計4人でした。 鈴木さんは、筑波キャンパスの天久保池近くで4年前に新種のクモを発見した体験などを披露。自然史研究は一般市民に開かれた学問で、プロとアマチュアの活発な関わりが大切だと訴えました。発表は、手話通訳に加え、スクリーン上に文字を表示する文字通訳でも伝えられました。 設楽さんはろう者で、聴覚障害者(デフ)スポーツの支援技術を研究しています。短距離走では光信号でスタートの合図をしますが、手のひらを触覚刺激する方が早くスタートできることなどを紹介しました。設楽さんの手話による発表が、音声通訳と文字通訳でも会場に伝えられました。 発表に引き続き、東京を拠点に活動する手話パフォーマンス集団「きいろぐみ」によるライブショーも開かれ、手話と歌やダンス、コントの組み合わせに、会場は笑いと熱気に包まれました。 「みんなの学会」を主催したのは、異分野の学生や研究者の交流を深めようと本学の大学院生が集まって2010年に発足した「つくば院生ネットワーク(TGN)」です。現在は市内の他大学や研究機関の学生らも加わり、プレゼンテーション力を競うなどさまざまな企画を実施しています。 TGN代表の本学システム情報工学研究科博士後期課程3年、讃井知(さない・さと)さんは「手話に体の動きや顔の表情が加わることで、更に豊かな表現力が生まれる。こうした特徴は、研究内容を的確に伝え、多くの人に理解してもらうことにつながると考えた」と言います。 手話を学び始めたばかりという女性は「音声に手話と文字通訳が加わり、専門用語を含んだ発表も分かりやすく聞くことができた。発表内容もバラエティーに富み、つくばならではの催しだと思った」と話していました。18イベント「みんなの学会」開催 豊かな手話表現で多彩な研究を紹介会場は手話パフォーマンスで大盛り上がり筑波キャンパスでクモの新種発見を報告手話通訳を介し主催者あいさつをする讃井さん(左)

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