TSUKUCOMM-48
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■人間の行動が招く影響を予測する人工知能(AI)などを使って、企業や社会に蓄積された膨大なデータ(ビッグデータ)をマーケティングなどに有効活用しようとするデータサイエンスが盛んです。とはいえ、これまでにない新しい事業や戦略を考えるためのデータはそもそもありません。そこで登場するのが、過去のデータを利用しながら将来を見通すシミュレーション、という新しい考え方です。中でも、人々の関係性をネットワーク構造として捉え、各個人の行動パターンをモデル化して、集団全体の振る舞いを予測する「エージェント・ベース・モデル」という手法を中心に、さまざまな社会課題に対してアプローチしています。 社会的課題は規模が大きく、構成要素も多岐に渡るため、その解決策を実際にあれこれ試してみることは困難です。シミュレーションは、データに基づいて、将来の社会の姿を短時間で予測できるツールになります。人々が互いにどのように影響しあい、態度を変え、行動するか、をモデル化することで、その集団内における情報伝達やリーダーシップの様子を計算することができるのです。私たちは、意思決定や行動をするとき、自分一人で決めているように思っていても、大なり小なり他人からの影響を受けています。人と人との関係の構造が、情報伝達にどのような影響を及ぼすかをモデル化し、計算によって、集団としての行動の変化やリーダーシップの強さをシミュレーションすることができます。このような手法を用いて、組織や社会が現実に直面しているさまざまな課題に対して、解決への指針を提案しています。ビジネスサイエンス系倉橋 節也教授Setsuya Kurahashi人と人との関係から社会の動きを予測する今そこにある課題を解決するためのシミュレーション聴HEADLINETSUKU COMMINTERVIEW

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