TSUKUCOMM-49
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 「筑波大を留学先に選んで正解でした」 ペルーの首都・リマ出身で、来日6年目のゴンサロ・アルフレドさんはそう語る。 本学の生物学類を今春卒業し、フロンティア医科学学位プログラムに進んだ。現在は遺伝子制御学研究室に所属し、iPS細胞やウイルスの研究に取り組んでいる。 ぺルーから見れば、日本は地球のほぼ裏側だ。「一番遠い国を選んでしまった」と笑うゴンサロさんが日本への留学を考え始めたのは、高校2年生の時。iPS細胞を世界で初めて作製した山中伸弥・京都大教授のノーベル医学生理学賞受賞がきっかけだ。 日本はロボットなどテクノロジーの国という印象が強かったが、生物系の研究も盛んだと知った。高校の生化学の授業が面白く、細胞やDNAのことをもっと勉強したいと思っていた時期で日本への関心が高まった。 その後は、駐ペル―日本大使館の推薦で国費留学生となり、15年に来日。東京外国語大で1年間日本語を学んだ。この間、さまざまな国立大学から授業内容などの説明を受けたが、本学への進学を決めたのは「留学生を歓迎してくれる環境があり、狭い専門領域にとらわれない勉強ができる」と感じたからだ。 入学後は、選択できる学生実験や授業の幅が広く、思い通りの学びができたという。 もう一つ良かったことは、課外活動の充実だ。ゴンサロさんは体育会の空手部と学園祭(雙峰祭)実行委員会に所属した。 空手部では1年生の秋に関東大会に出場。初戦で体育大学の4年生と当たり、いきなり突きを決められて負けた。「日本の武道を体験することができた。痛かった。その後は、学園祭実行委に専念しました」 実行委ではサークルなどが出店する模擬店などの調理企画を担当。材料の仕入れ先や調理方法を集約して保健所へ提出したり、保健所の指摘を学生側に伝える役割を担った。保健所とのメールのやり取りで使う敬語を、仲間に教わったのも良い経験だった。 学園祭最終日の夜には、恒例の打ち上げ花火がある。2年生の時、実行委の同期9人で夜空を見上げ、思わず涙が出た。「仕事をやり切った」という感動がこみ上げた。 今の目標は、博士号を取得し、世界を舞台にした研究者になることだ。ペルーの両親と会話する際にも日本語を使いたくなるほどなじんだ筑波大での日々が、その土台となるのは間違いない。後輩にひとこと筑波大に来たら、勉強だけじゃなく、サークル活動も楽しんで下さい。体育、芸術から医学、理工系など多彩な学生がいて、いろんな視点からの考え方を知ることが出来ます。こんな大学はなかなかありません。幅広い学びを土台に世界へ研究室の細胞培養室で作業をするゴンサロさんセミナリオ・モンデハル・ゴンサロ・アルフレド さん人間総合科学学術院人間総合科学研究群(修士課程)フロンティア医科学学位プログラム1年Seminario Mondejar Gonzalo AlfredoSeminario Mondejar Gonzalo Alfredo和食で好きなのは寿司や海鮮料理。ネバネバ系の食べ物は苦手だ。10

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