TSUKUCOMM-50
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 本校は、「進んで自分の能力を開発し、広い視野に立って文化的生産的活動の発展に寄与できる人間の育成」を目標に、日々学習活動を行っています。特に、全校行事である文化祭は、幼児児童生徒の主体性を重んじ、高等部生を中心に運営しています。どんなテーマにしようか、どんな作品展示にしようかと聴覚障害を有する幼児児童生徒がそれぞれの発達段階で話し合い、文化祭を形作っていきます。今年度は校内閲覧サイトによる開催となりました。画像や動画をいかに楽しく見せるかという課題がありましたが、本校の教職員は分かりやすい視覚情報については日頃から配慮しています。ですから、文化祭の画像や動画も誰が見ても理解しやすい画像や字幕の配置になるように生徒にアドバイスをしていました。例年とは異なる方法に子供たちも教職員も戸惑いがありましたが、開催できたことの達成感が子供たちをまた一回り大きく成長させたと思います。戸惑いを乗り越えて成長を眞田 進夫 副校長時間について、見つめ直してほしいとの願いが込められています。■前を向き、工夫に満ちた表現各部では欅祭のテーマに沿った展示発表の準備を行い、それぞれの教室に展示するとともに、その様子を撮影した画像や動画を閲覧サイトにアップロードし、他学部にも公開しました。例年とは違った形となった分、各部ともいつも以上に工夫を凝らした内容となりました。幼稚部は浦島太郎を題材に、教室の中に竜宮城の世界を表現しました。壁一面に青色で塗った紙を貼り、その上にクラゲやタコ、色とりどりの魚が描かれ、まるで海の中にいるような空間を作り上げました。小学部は、図工や家庭科の授業で作った作品を展示しました。図工では、それぞれの学年ごとに、絵を描いたり、ペットボトルタワーや張り子のお面などを、また家庭科では、生活に役立つ布製品、ということで、ティッシュボックスカバーやマスクを作りました。独創的で、見ているだけで楽しくなる作品が並びました。中学部や高等部普通科では、欅祭のテーマに関連して、調べたり話し合ったりしたことを展示にまとめました。中学部は、戦争やオリンピック・パラリンピックなど、様々なイベントに見られる贈り物について調べ、展示だけでなく、それらを説明する動画も作成しました。高等部普通科は、自分の生活を振り返り、時間について調べたものを展示しました。高等部1年生は映画を制作し、体育館で上映会を行うだけでなく、閲覧サイトで他学部も見られるようにしました。思いがけず休校となった約2カ月をどのように過ごし、どのようなことを考えたのかを、映画で表現することができました。高等部美術部は、一般社団法人芳心会から助成を受け、指文字の石膏像を制作しました。今年度は、例年作品を出品している展覧会が中止となってしまいましたが、そのような中でも、諦めずに前を向こうという気持ちをより多くの人に伝えたいと、高等部普通科や専攻科の生徒、さらには小学部の児童にも、作品作りに協力してもらいました。出来上がった91体の石膏像は、3つの造形物に組み上げられました。その写真は学校HPでも公開し、広く内外に発信しました。高等部専攻科は、学科ごとに特色のある展示発表を行いました。造形芸術科は、絵画やデッサン、ポップアップカードなどの作品展示と、事前予約制の似顔絵コーナーを実施しました。ビジネス情報科は、日頃の学習活動をまとめた展示の他、背景を合成した写真が撮影できるクロマキー体験コーナーを設けました。歯科技工科は、授業で作った歯科技工物の展示に加えて、文化祭のための企画展示も行いました。専攻科の展示発表はいずれも、高い専門性が生かされています。■社会に出るための力を培う欅祭は、その準備もとても重要な活動です。何を伝えたいのか、どのように伝えるのか、誰に伝えるのかなど、限られた時間の中での自主的な話し合いが欠かせません。それは、日頃感じていることや疑問に思っていること、自分の障害や将来について考え、社会に出てから必要になる力を身に付ける機会でもあるのです。     副校長(右)と文化祭総務副委員長の久川浩太郎教諭11

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