TSUKUCOMM-50
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■生物の系統樹を計算で調べるヒトとサルが同じ仲間の生物であることは、互いの見た目が似ていることからも推察が可能です。同様に、DNAの配列が似ていれば、近い系統の生物であると考えることができます。生物間の系統関係がどのくらいの確率で確からしいのかを計算し、その配列がどのように進化してきたかを探るのが分子系統学です。地球上の生物は、一つの生物から分岐して、多様な種へ変化しました。もちろん、最初の生物はすでに存在していませんし、DNA配列中のシグナルは、進化の過程で上書きされてしまうので、古い歴史を示すシグナルほど、現在の生物からは失われていきます。それでも何かしらの名残を見つけるために、大量の遺伝子や転写物のデータを使って解析を行います。そうすることで、過去の系統関係が高い信頼性で復元できます。このような作業を重ねて生物の系統樹を遡れば、その大本に辿り着けるはずです。進化の研究といっても、対象は様々です。人類の祖先を探ったり、作物がもつ遺伝子の機能を調べるような、比較的わかりやすいテーマもある中で、特に興味があるのは真核生物、つまり動植物や菌類など、遺伝物質(染色体)が核膜で覆われているような生物の起源です。進化の初期を知ることは、私たちの日々の生活の役に立つわけではありません聴HEADLINETSUKU COMMINTERVIEW

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