TSUKUCOMM-50
8/24

訓練インストラクタというのはどういう仕事ですか一言で言うと「宇宙飛行士の先生」です。国際宇宙ステーションに行くことが決まった宇宙飛行士たちに、そこで仕事をするための訓練をします。国際宇宙ステーションでは、構成するモジュールを各国が分担して開発・運用していて、日本はそのうちの実験棟「きぼう」を担当しているので、これに関連する訓練は日本で行っています。ステーションに行くことが決まると、打ち上げまでの間、宇宙飛行士は各国を回って、それぞれの国が担当する訓練を受けます。日本での訓練は、ステーション内での日々の生活や「きぼう」で行う実験作業、さらには、火災や空気漏れなどの緊急事態への対処までを含みます。つくばには、実物大の設備が作られていて、1~2週間の訓練を何度か行います。宇宙飛行士にとっては、ここで学ぶことが全てなので、間違った情報を伝えると、文字通り命取りです。責任重大ですが、そこがこの仕事の醍醐味、やりがいでもありますね。あまり知られていない職業ですが、きっかけはなんだったのでしょう子供の頃、映画「アポロ13」を観て、みんなの知恵を集めて協力するとすごいことができるんだ、こういう仕事がしたい、と思ったんです。宇宙ミッションを支える管制官に憧れたんですね。出身は福岡なのですが、つくばに宇宙センターがあることも、子供なりに調べました。それで大学では物理学を専攻し、管制官を目指して就活もしました。実際に面接も受けたのですが、その時の面接官が、訓練の方が向いているのでは、とアドバイスしてくれたんです。訓練インストラクタという仕事があることはなんとなく知っていましたが、おおっぴらに募集はしていないので、どんなことをするのかがわかったのは、実際に仕事を始めてからでした。結果的には、この仕事は自分にとても向いていると思っています。人と接することが好きですし、相手の反応も直接伝わってきます。宇宙飛行士の方々からいろいろなお話も伺えますし。宇宙ミッションを成功へ導く地上の立役者有人宇宙システム株式会社有人宇宙技術部 訓練インストラクタ張替 真理亜氏

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る