TSUKUCOMM-51
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11 栄口さんは、父方、母方の祖父母とも沖縄出身の日系アルゼンチン人3世だ。「母国と日本との懸け橋となる」ことを目指し、本学の大学院で学び始めて丸1年となる。 「ブラジルやペルーからの留学生も多く、南米のことを普通に話せる。コロナ禍で授業がオンライン化されたが、今は対面授業が増え、落ち着いて勉強できる」と振り返る。 高校まで首都ブエノスアイレスで育った。家族間の会話はスペイン語だったが、週に1回、日本語学校に通っていた。学校では沖縄がルーツの日系人が多く、伝統芸能のエイサーや三線も一緒に習ったという。今も、オンライン会議システムを使い、ブエノスアイレスの友人たちと一緒になってエイサーを練習することがあるほどだ。 留学のきっかけとなったのは、中学3年生の時に参加した国際協力機構(JICA)の研修プログラムだ。約1カ月間、横浜市などで日本語研修を受け、「もっと日本語が上手になりたい。日本の移民の歴史もきちんと知りたい」という気持ちが募った。 その夢がかない、2015年に日本政府の国費留学生として来日。大阪大学での語学研修などを経て、金沢大学で国際関係論と日本語教育を4年間学んだ。大学院で本学国際公共政策学位プログラムへの進学を選択したのは、ラテンアメリカに関する国際研究環境が充実していると考えたからだ。 特に興味があるのは、母国アルゼンチンに対する日本の支援の在り方だ。「日本の国際協力には、相手国の自助努力を促す理念がある。アルゼンチンでも、日本の一村一品運動が紹介され、現地の人たちがアイデアを出し合うプロジェクトがあった。さまざまな日本の支援にその理念はどう生かされているのか、考察を深めたい。自分もいずれは、そのような関係の仕事に就きたい」と語る。 本学で、国際交流や留学生のサポートを担当する「グローバル・コモンズ機構」の非常勤職員としても活躍中だ。スペイン語圏の留学生への情報提供や海外の協定校との連絡などにあたっている。「将来に備えた良い経験ができている」と笑顔を見せる。 「日本人はルールを厳守するが、アルゼンチン人はより自由で、アドリブ力が高い。サッカーにもその違いが現れているかも」。日本とアルゼンチンのお国柄をよく知る栄口さん。両国の今後の絆を深める上で、とても心強い存在だと言えるだろう。FE筑波大生メディアを生かした創作に挑むTanaka Kojiro田中 康二郎 さん人間総合科学学術院人間総合科学研究群(博士前期課程)情報学学位プログラム2年後輩にひとこと筑波大学は留学生がとても多く、さまざまな国の出身者と触れ合うことができます。研究でも、スポーツでも、世界で活躍する人材が豊富で、施設も充実しています。街の人たちも留学生に優しく、とても住みやすい。本当に来てよかったと思っています。石川県白山市の綿ケ滝にて宮崎県出身。好物は名物のチキン南蛮。帰省時には欠かさず食べる。

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