TSUKUCOMM-51
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08兄弟で運営する「ITONAMI」に ついて教えてください 学生時代に弟と立ち上げたデニムブランドを発展させたのが「ITONAMI」です。岡山県倉敷市児島を拠点に、オリジナルのデニムブランド「ITONAMI」と、そのショップを併設した宿泊施設「DENIM HOSTEL float」を運営しています。 児島は、昭和初期には学生服の製造で栄えた場所なんです。それが戦後、下火になってしまったときに、ある人が、たまたまアメリカでジーンズを見つけて、輸入販売を始めました。それから研究して、製造もするようになりました。備後絣で有名な広島が近く、藍染になじみが深かったこともあり、このエリアがジーンズの産地に発展したんです。 先にジーンズに目をつけたのは弟です。岡山の大学に進学して何か活動したいと思っていた時に、ジーンズ工場を見学する機会があって、この産業に関わるようになりました。その熱意に刺激を受けて、誘われるままに一緒に活動を始めました。デニムブランドと宿泊施設という組み合わせは、どうやってできたのでしょうか 学生時代は、毎月1週間ぐらいのペースで、キャンピングカーに乗って、全国各地のイベントなどでデニム販売の出店をしていたんです。15ヶ月かけて47都道府県を回り終えて、どの場所でも暖かく迎えてもらったので、今度は自分たちが迎える側になりたいと考えました。でも、ショップだけだと「迎え入れる」という感じにはならない。それで、宿泊してゆっくり過ごしながら、まちの魅力に触れ、デニムも見てもらえるように、というコンセプトができました。実際、宿泊を目的にここへ来て初めて、デニムを知ってくれるお客さんも多いんです。 デニム産業も必ずしも順調ではないのですが、家業としてやっているところも多いので、なんとか続けていこうとしています。児島を拠点にすることで、そういう面でも力になりたいと思っています。だからまずは、地域の人たちに歓迎されることが大事です。その上で、各地からいろんな人が来てくれて、かつ、近所の人もふらっと立ち寄れるような場所にしたいですね。起業しながらの学生生活は どのようなものでしたか 活動を始めた時は、起業とかは全然考えていませんでした。ものづくりに打ち込む人の姿がすごく新鮮で、かっこよく見えたので、それを発信するウェブサイトを立ち上げたのが最初。工場の人との交流が深まるにつれて、もっと踏み込んで携わりたいと思うようになりました。 社会に関わることを広く学びたいと思って、社会学類に入りましたが、最初の二年間は、単位もあまり取れなくて、将来のことなんて何も考えられませんでした。それで、いったん休学して社会人の真似事を体験TSUKUBA ALUMNI株式会社ITONAMI 代表取締役山脇 耀平氏デニムでつなぐ人と地域

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