TSUKUCOMM-52
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10 「迷ったら、常につらい方を選ぶようにしてきた」。西さんは、本学に入ってからの日々をそう振り返る。大好きな祖母の口癖は「若い時に苦労しなさい」だったそうだ。 入学2年目の春に約1カ月半、アフリカのウガンダに滞在。孤児院併設型の小学校で算数と英語を教えた。3年時の2019年9月から20年3月には、ロシア・サンクトペテルブルク国立大学国際関係学部に留学した。この間、2年時から全国紙の学生記者となり、学生を巡る話題を取材、記事化してきた。 分野も国境も越えたその活動ぶりには、目を見張るものがある。 行動の根底にあるのは、好奇心だ。「興味の範囲がとても広くて、何にでも関心を持ってしまう」と自己分析する西さんの表情からは、苦労よりも楽しさが伝わってくる。 ウガンダ行きは、国外でのインターンシップを企画するNPOに所属する友人から声を掛けられたのがきっかけだ。英語を母国語としない国で、英語を使って生活し、「英語はコミュニケーションの手段であり、多少間違っても通じればいい」とふんぎれた。 学生記者に応募したのは、ウガンダでの体験を発信したいと思ったから。日本の教育文化との比較も面白いと考えた。ロケット打ち上げから戦争体験の継承までさまざまな話題を追う中で、「誰かの代わりに現場に足を運び、見て、聞いて伝える」記者の仕事自体にやりがいを感じるようになった。 サンクトペテルブルク大では、旧共産圏諸国で起きた政権交代を目指した民主化運動などについて学んだ。「普段、馴染みがない言語をじっくり学びたい」と本学で1年時からロシア語の授業を受けており、留学で日常会話と文献購読がこなせるまでに上達した。コロナ禍で帰国を3カ月早めたが、昨年6月までオンライン留学を続けた。「充実した授業が受けられた」と振り返る。 本学の魅力は、国際性が高い総合大学で、他学類の授業も受けられるなど幅広い学びができることだという。入学後は、キャンパス内を複数の言語が飛び交い、想像していた以上に国際交流が盛んなことに驚いた。「自分にぴったりの大学だった」。 来春の卒業後は、通信社の記者となる。最近は、うつ病やパニック障害など精神疾患に悩む人々が増えている問題に特に関心がある。「常に問題意識を持って生きていきたい」。記者の土台となる考え方に違いない。LI途上国の発展に貢献したいSingh Raviシン・ラヴィ さんグローバル教育院(学士課程)地球規模課題学位プログラム4年後輩にひとこと大学では、だれかがやってくれるのを待つのではなく、自分で主体的に動くことが大事だと思います。あせる必要はありませんが、自らが考え、動くことで、留学でも何でも、希望をかなえることにつながります。筑波大にはあなたの希望をかなえる環境があります。ロシアの友人と来日して初めて鉄道に乗った。新幹線の快適さ、便利さに感心した。

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