TSUKUCOMM-52
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12筑波大学「知」活用プログラム 新型コロナウイルス感染症対策研究の成果を公開 本学が2020年5月より推進してきた、学内公募型研究助成「新型コロナウイルス緊急対策のための大学『知』活用支援プログラム」の27のプロジェクトが助成期間を終了し、これまでの成果をインタビュー記事にしてホームページで公開しました。ウイルスやワクチンなど医学関連の課題のみならず、外出自粛時の健康維持、心理ケア、教育システム、人の移動や密集、情報拡散の影響、文化・芸術振興、家族関係など、私たちの暮らしに関わる多様な課題に対する研究成果が生み出され、現場での活用が始まっています。 このプログラムでは、「研究成果をスピーディに社会に報せる」ことをミッションの一つに掲げ、URA(リサーチ・アドミニストレーター)が成果広報の伴走支援を行いました。また、各研究プロジェクトのリーダーを中心メンバーとするワークショップを通じて、所属や研究分野の異なる研究者の交流が促進され、2021年度の「TSUKUBAコロナ社会学」開講にもつながりました。研究プロジェクトの成果:https://www.osi.tsukuba.ac.jp/fight_covid19_interview/CAMPUS & COMMUNITIESTOPICSTOPICS【成果事例】カメラ1台でバーチャル博物館をつくる「Remote Museum Explorer」 自由に視点を変えて展示物を楽しめる技術の開発(計算科学研究センター 北原 格 教授)感染症の流行により、博物館や美術館での鑑賞活動も制限されていることから、インターネットを使い、自由な角度から遠隔鑑賞できる技術を開発した。スマートフォンなどで対象物を周囲のさまざまな角度から撮影し、そのデータから三次元形状を復元するもので、特殊な装置がなくても作成できる。好きな角度から鑑賞でき、解説文との連動も可能となる。人々のCOVID-19対応とその心理を理解する 日英独市民の行動変容の比較分析(システム情報系 谷口 綾子 教授)コロナ禍がもたらした市民の行動変容とその原因を比較分析するために、まん延初期の2020年5月、日本、イギリス、ドイツを対象にウェブアンケートを実施した。その結果、日本人は特に不安感が強く、コロナ禍のリスクを未知で恐ろしいものと認知していることが分かった。また、政策的な強度は弱いにもかかわらず外出活動の抑制度が高いという日本特有の傾向も、統計的に示された。コロナ禍でのより適切なランニング作法とは? 実験でマスクの効用を明らかにする(医学医療系 岡本 嘉一 講師)ランニング時のマスク着用や飛沫の拡散についてはさまざまな議論がある。そこで、屋外ランニングと同等の条件を再現し、飛沫の発生状況やその挙動を観測したところ、運動時には飛沫はほぼ垂直に落下することが明らかとなった。さらに、呼気が顔面を流れる様子から、顔面にウイルスが付着する可能性が示唆され、マスクの適切な扱い方の重要性も再確認された。

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