TSUKUCOMM-52
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17研究・技術シーズ❸産学連携プラットフォームは、大学や研究機関の知恵と知見を、共同研究、学術指導、技術移転などを通して企業に提供し、イノベーションを生み出すための場です。全国の16大学、1高専、3研究機関が保有する研究・技術シーズを、6つのカテゴリ(健康・医療機器、食品、環境・エネルギー、IoT・ロボット、次世代自動車、ものづくり)に分類して提案しています。ここでは、産学連携プラットフォームHPに掲載されている本学の研究・技術シーズ866件(2020年11月現在)の中から、代表的なものを紹介します。産学連携プラットフォームHP: http://sme-univ-coop.jp赤外線センサーで計測するサービスの価値システム情報系 助教 善甫啓一  ●分野:IoT・ロボット 最先端のサービス研究では、サービスの本質を価値共創プロセスとして捉え、これに関わる人やAIなどをActorとして位置付けます。本研究技術では、Internet of Actorsというコンセプトの下で、店舗内にセンサーネットワークを設置し、そこで提供される価値共創プロセスを計測する技術の技術実証を行っています。これにより、これまで取り扱えなかった人間行動データに基づくサービス工学を展開することができます。 例えば、店舗内の従業員や、顧客が持つ買い物かごに赤外線センサーを取り付けることで、プライバシー侵害や行動制限をすることなく、その価値共創プロセスの計測が可能となります。これにより、熟練の化粧品販売員は新人に比べて、接客時の顧客との距離が約0.3m近いことや、相づちの回数が約2.4倍多いことなどが観測されました。これらの知見や技術は、無人店舗などの物理的な店舗のみならず、今後、増加が見込まれる、現実と仮想が組み合わされた空間で提供される、新しいスマート・サービスイノベーションに資することが期待されます。http://sme-univ-coop.jp/tsukuba-011優れた水素放出性能を有する新材料~新規二次元物質ボロファンの合成を実現〜数理物質系 准教授 近藤剛弘  ●分野:環境・エネルギー 水素は、燃料電池の燃料として注目されていますが、極めて軽い気体のため、輸送や保管が難しい物質です。そこで、水素を安全に保管し必要な時に放出できる材料として、ホウ素と水素で構成される物質(ボロファン)の一つ、ホウ化水素(HB)シートを新たに開発しました。HBシートは、室温大気圧下でのイオン交換反応という簡単な反応で合成できる上、全体に占める水素の質量の割合が8.5%と比較的高く、150℃程度以上になると、分解されて水素を放出します。また、室温であっても、紫外光を当てることで水素を放出させることも可能です。これには一定の光強度が必要なので、水素が徐々に漏れることはなく、必要に応じて、光照射のオンオフにより水素放出を制御できる点が特長で、さらなる放出特性の向上や水素の再貯蔵技術の開発を進めています。 HBシートは、水素貯蔵性の他に、固体酸触媒や還元剤として機能すること、ガスセンサーとなる性質を持つこと、炭素をドープすると特性を制御できることなども分かっており、さまざまな応用が可能です。http://sme-univ-coop.jp/wp/wp-content/uploads/2020/12/1-3-5-kondo.pdf研究紹介5研究紹介6センサー情報を送信可能な屋内測位センサーネット買い物かご

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