TSUKUCOMM-53
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08明和電機の活動について 教えてください ナンセンスマシーンという、芸術的なパッションと機械という理性の両方を兼ね備えたユニークな道具を作るアートユニットです。自分が使って見せないと、その道具が何なのかが分からないので、ライブパフォーマンスという形で作品を発表しています。デモンストレーションのしやすい楽器のような作品が多いと思われがちですが、コンセプチュアルなものと半々ぐらいで制作しています。キュート&メカニカル、見た目の可愛らしさと技術的な面白さが、明和電機の持ち味です。 アートから機械工作、ライブコンサートまで、さまざまな活動をしています。なんでもやってしまうと、かつては器用貧乏と言われたりもしましたが、幸いなことにマルチメディアの時代になって、できることは全部生かせるようになりました。「明和電機」はそれらを入れておく箱のようなものです。この箱があるおかげで、活動の幅をいくらでも広げられます。我ながら大きな発明ですね。ナンセンスマシーンは どうやって生まれたのですか 筑波大の芸術専攻には工場みたいなところがあるんです。フライスや旋盤などの工作機械が並んでいて、そこに入り浸っていろんな加工方法や設計を学びました。それが大きかったですね。ナンセンスマシーンのアイデアは、漠然とは持っていましたけど、それを具体的な形にすることができるようになったわけです。 電子工作は小学生ぐらいからやっていましたが、姉が通信技術に詳しくて、なんとなく教わっていた程度で、特に興味はありませんでした。電子回路って中で何が起こっているかわからないでしょ。それが苦手で。学生時代に、今で言うメディアアート、電子回路を使ったアートが登場して、それに影響されました。絵筆という感情的な表現ツールに、機械というとても理性的なツールが加わりました。 ときどき頭の中に浮かぶ不可解なイメージがあります。自分と世界とのずれ、違和感みたいなものがビジュアルとして現れるんです。それが作品制作の動機です。そういったイメージの源の多くは、生物や生命です。生物の仕組みとか振る舞いって、分からないことだらけだけど芸術的で、それこそナンセンスマシーンですよね。卒業後の進路として 「アーティスト」を選ぶことに 不安はありませんでしたか 小さい頃から絵描きになりたくて、自分で芸術作品を作って売る、というシンプルな生き方を志向していました。就職する気はさらさらなかったですね。学生時代は、TSUKUBA ALUMNIアート・ユニット「明和電機」 代表取締役社長土佐 信道氏修士発表の様子。明和電機以前。なぜかタキシードを着ている。不可解なイメージをナンセンスマシーンで表

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