TSUKUCOMM-54
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17研究・技術シーズ❹産学連携プラットフォームは、大学や研究機関の知恵と知見を、共同研究、学術指導、技術移転などを通して企業に提供し、イノベーションを生み出すための場です。全国の16大学、1高専、3研究機関が保有する研究・技術シーズを、6つのカテゴリ(健康・医療機器、食品、環境・エネルギー、IoT・ロボット、次世代自動車、ものづくり)に分類して提案しています。ここでは、産学連携プラットフォームHPに掲載されている本学の研究・技術シーズ866件(2020年11月現在)の中から、代表的なものを紹介します。産学連携プラットフォームHP: http://sme-univ-coop.jp新発見!ADHD治療につながるタンパク質? ~2つの機能を持つPRMT8~生存ダイナミクス研究センター 教授 深水昭吉  ●分野:健康・医療機器 発達障害の一つである注意欠陥・多動性障害(Attention Deficit Hyperactivity Disorder, ADHD)は、不注意や多動性、衝動性の3つの症状による、年齢や発達に不釣り合いな行動が、学業や社会的な活動に支障をきたす障害です。子どもだけではなく成人にも多く見られ、うつ病や精神的不安定の引き金になることもあります。 ADHDの原因の一つとして、脳内の神経伝達物質アセチルコリンの減少があります。生体内のアセチルコリンの合成材料コリンや、その前駆体であるホスファチジルコリンを服用すると、改善効果があることが知られています。そこで、ホスファチジルコリンからコリンを生成する分解酵素活性(PLase)をもつアルギニンメチル化酵素(PRMT8)に着目した研究を行っています。 PRMT8を作ることができないように遺伝子改変したマウスは、神経細胞の樹状突起形成異常や過活動を示します。PRMT8には、タンパク質の機能を調節するためのメチル化反応を触媒する作用もあり、これらの働きを利用することによって、ADHD発症の原因解明や治療法開発が進展すると期待されます。http://sme-univ-coop.jp/tsukuba-020それぞれの利用者が求める言語情報を「それぞれの求める形で」提供する次世代型辞書の開発人文社会系 教授 矢澤真人  ●分野:IoT・ロボット 辞書引きは、読書や作文などの主たる言語活動が、言語情報の不足によって継続できないときに行う副次的な活動です。辞書は、従来の紙媒体から、さまざまなデバイスへと利用形態が変化しています。それに伴って、使用者の言語能力、使用者の利用目的、利用者の使用環境などに応じて、よりカスタマイズされた使い方への対応が可能になってきました。そこで、「個別対応」「活動支援」「産学教連携」という三つのコンセプトに基づいた新しい辞書開発に取り組んでいます。 辞書使用の実態調査から、学年や学力、言語活動の種類などによって、求められる言語情報や使用するデバイスの有効性について分析し、それを辞書の記述内容に反映させたり(個別対応)、作文支援システムと類語辞典を連動させ、発想をさらに展開させるような、辞書を引くことで、言語活動の質を一段上げることが出来るような付加価値のあるサービスの提供(活動支援)を検討しています。 このような新しい辞書開発は、大学と教育現場、企業の協働(産学教連携)により進められています。http://sme-univ-coop.jp/wp/wp-content/uploads/2019/03/1-1-1-yazawa.pdf研究紹介7研究紹介8新しい辞書開発のための三つのコンセプト産学教連携個別対応活動支援

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