TSUKUCOMM-54
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09に戻ってブドウ作りを始めたんです。この大チャレンジを夫も応援してくれました。 今は、1.5haほどの畑をほぼ自分一人で見ています。今年は白ブドウ4品種と黒ブドウ5品種で5トンほどの収穫があり、白ワイン2種、赤ワイン2種、それにロゼとスパークリングを1種ずつ作りました。気象災害などもなんとか乗り越え、順調に収量は増えていますが、まだまだブドウに振り回されている感はありますね。 研究者だった頃もやりたい研究を存分にできていたので、長時間働くことのストレスはありませんでしたが、農業も同じですね。試したいことはたくさんあるし、自分の裁量でそこにいくらでも力を注ぐことができることは幸せです。これからの抱負を教えてください とにかく早くワイナリーを建てたいです。自分のワイナリーがあれば、醸造でもいろいろな工夫ができますから。ブドウの栽培や醸造も含めて、工クラフト芸品として突き詰めていきたいです。 ブドウはそもそも日本の気候条件にはあまり合わない作物です。ですから、サステナブルな産業になるためにも、高温多湿な風土に適したワイン用の品種を選ぶことが重要です。茨城は、国内の他の産地よりも気温が高いので、ちょっと煮詰めたような果実味のあるワインができます。その特徴をもっとアピールしたいですね。 県内のワイン農家はみんなで情報共有をしています。いつの間にか、その中では自分が一番栽培技術の知識を持つようになっていますが、だからこそ県全体の栽培技術が向上するためのハブにならなければと思っています。産地としての評判が上がることは大事ですから。研究者としてのバックグラウンド、海外の文献を読んだりすることに抵抗がなく、広く情報を得ることができるというのが役立っています。 日本のワインはずいぶん品質が良くなっているものの、まだまだ価格も高いし、生産者の努力を理解してくれる消費者に支えられている面が大きい産業です。そういう人々に応えられるものを作っていきたいです。後輩へのメッセージをぜひ 大学時代というのはとても特別な時期。仕事をしなくてもよい上に、自立していろいろなことができます。私自身、サークル活動やアルバイトもずいぶんたくさんして、充実した日々を過ごしました。時間の使い方は人それぞれですが、これからの自分の人生をどう生きるかを考えられる貴重な時間です。勉強はもちろん遊びにも全力投球して、興味のあることはとことん突き詰めチャレンジしてください。PROFILE いまむら ことよ1996年 第二学群生物学類卒2001年 生命環境科学研究科修了2001年 三共株式会社(現 第一三共株式会社)に入社し、変形性関節症の研究部門に配属。2007年 趣味で日本ソムリエ協会ワインエキスパート取得。2008年 臨床開発部門に異動。骨粗鬆症・関節リウマチ領域の治験実施に関わる。2013年 第一三共株式会社を退職し、長野県東御市のワイナリーにて栽培・醸造研修へ。2015年 新規就農、筑波山麓にて「ビーズニーズヴィンヤーズ」開園。2021年 事業を法人へ移行

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