TSUKUCOMM-55
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05重要性を増すスポーツマネジメント 多くの人がスポーツを日常的に楽しんでいます。けれどもスポーツの世界は、競技を行ったり、試合を観戦することだけで成立しているわけではありません。それぞれの競技を盛り上げていくためには、有能な人材を発掘し、指導し、トップアスリートにまで育て上げ、さらに、引退後のキャリア形成に至るまで、一貫したマネジメントが必要です。また、そういった選手強化をバックアップする各種スポーツ団体の組織運営や、スポーツ政策とのリンクなど、さまざまな視点から、スポーツ界全体のシステムを学問的に考察しています。 アマチュアスポーツが主流だった時代の名残か、スポーツ団体の運営は、競技に関わる有志のボランティアに頼ることが多く、規則よりも、師弟関係などの人間関係に左右されやすい面があります。そのため、何か問題があっても互いにかばい合い、アスリートたちの華々しい活躍の裏に隠されてしまいがちです。 多くの競技で日本人アスリートが活躍するようになった背景には、国によるスポーツ支援政策があります。施設を整え、選手強化に税金が投入されると、説明責任や費用対効果の検証などが求められますから、スポーツ団体のガバナンスにも注目が集まります。そのための指針である、スポーツ団体ガバナンスコードの策定(2019年)にも関わりました。トップアスリートの社会的役割 ハラスメントやコロナ禍でのオリンピック開催など、スポーツを巡る問題は、しばしば社会的な議論になります。ところが、それに対して自分の意見を述べるスポーツ関係者はごくわずかです。そんな中で、批判的なことや政治的なことも含めて積極的に発言を続けてきました。それにはトップアスリートゆえの理由があります。 男性だけのスポーツだった柔道の世界に飛び込んだ頃、男性と女性とでは体格もメンタルも異なり、それぞれに適した練習環境が必要であることは認識されていませんでした。そんな中では、生意気だなどと言われながらも、意見や要望をはっきり主体育系 教授山口 香聴

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