TSUKUCOMM-58
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TSUKUBA FRONTIER06や時間帯が限られるといった教員の都合など、1万件以上もの制約条件を満たす時間割の最適化モデルと、さらに、移行先の併願可能性をチェックするためのモデルを作りました。このおかげで、無事に、どの組み合わせでも2学類併願ができるようになりました。 最適化は、特定の人の意見を優先したり、人間関係で調整したりするのではなく、数学を使って正しく計算するプロセスです。ですから、条件を緩めなければならないような場合でも、信頼感をもって対応してもらうことができます。公共性の高い問題を解決するには、極めて有効な手段と言えます。ピーカーのタイプや費用を考慮しながら、全体のコストを最小化しつつ、スピーカーの音が届く人数を最大化するにはどうしたらよいか、計算してみました。 そうすると、スピーカーの数を増やさなくても、設置する場所を変えると、現状の2倍の人数に音が届くということが分かりました。市内にスピーカーは134個あり、数としては足りないわけではありませんが、住民が多く住んでいる地域に重点的に設置されていたために、かえって聞き取りにくくなっていたというわけです。 どんな条件を満たすべきかを考えるには、その地域のことをよく知り、論理的に考えることが必要です。そうやって問題を解いていけば、合理的な答えに辿り着きます。高校生にとっても、自分たちの提案が現実の問題の解決に役立つという実感が得られるというのは、貴重な体験になるはずです。高校生と地域の問題に取り組む こういった最適化の手法は、アルゴリズムは難解ですが、ツールとしては、大規模な問題でも解くことができるソルバー(プログラム)があります。これを使って、高校生を対象にした授業も毎年、実施しており、自分たちが住む地域で実際に起こっている問題の解決方法の提案を目指しています。 例えば、龍ケ崎市では、東日本大震災の時に、防災無線がハウリングしてしまって、住民には何も聞こえなかった、ということがありました。これを解決するために、まず、市内を2万近いメッシュに区切り、それぞれの人口を調べます。それをもとに、ス最適化理論の最前線を 追いかけて 最適化の分野では、1984年に発表された内点法という新しいアルゴリズムが注目され、学生時代は、これにのめり込んでい

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